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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十九話 長崎を後にしてその十

「西洋でも鯉食べるって」
「ドイツとかで食べるけれどね」 
 確かにメジャーじゃないにしてもだ。
「ビスマルクの好物だったし」
「鉄血宰相の」
「うん、あの人大食漢でね」
 生牡蠣を百個とか茹で卵を十数個とか一気に食べていたらしい、一メートル九十の長身で体重も百キロを優に超えていたらしい。
「鯉も食べていたんだ」
「そうだったの」
「それで鯉も好きだったんだ」
「じゃあドイツとかじゃ」
「鯉も食べるよ」
 僕は詩織さんに話した。
「欧州でもね」
「そうなの」
「うん、こうしてね」
「じゃあお父さんに言っておくわね」
「そうしたらいいよ、ムニエルも食べられるって」
 勿論他の調理の仕方もいける。
「オリーブオイルとワインで煮たり」
「白ワイン?」
「そう、そこにトマトとか大蒜とか入れて」
「それも美味しそうね」
 詩織さんは僕の話に目を輝かせて応えた。
「それもかなり」
「そうだよね」
「私も食べたくなったら」
「こっちはドイツよりもイタリアだけれど」
「オリーブオイルだしね」
「そうなるけれどね」
「そういえばクラスにイタリアから来た女の子いるけれど」
 流石世界中から人が来る学校だ、伊達にいない国の人は北朝鮮から来た国の人だけと言われるだけはある。北朝鮮籍の人はいる。
「オリーブオイル大好きよ」
「あっ、やっぱり」
「特にパスタにはね」
「オリーブだね」
「それと大蒜を外さないわ」
「トマトもかな」
「それは時と場合によるみたいだけれど」
 それでもというのだ。
「オリーブオイルと大蒜はね」
「パスタにはだね」
「絶対って言ってるわ」
「やっぱりイタリア人だね」
「その娘もね」
「そうしてお魚作るんだ」
「料理部で作って好評だったみたい」
 そのオリーブオイルと白ワインで煮たものがというのだ、大蒜とトマトも入れて。
「これが」
「そうだろうね」
「まあある俳優さんみたいに」
 詩織さんはこんなことも言った。
「いつもオリーブじゃないけれど」
「ああ、あの人ね」
 僕も知っている俳優さんだ、嫌いじゃない。あの整った顔立ちが何とも言えないし演技も好きだ。
「あの人はね」
「何でもよね」
「オリーブだよね」
「そこまではね」
 イタリア人でもというのだ。 
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