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魔法少女リリカルなのはエトランゼ番外編1 FATAL FURY

作者:南條 綾
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3部 宿命の戦い
宿命の戦い
  テリーVSジョー

 俺でも勝利がどちらになるのかわからないし楽しい試合が始まる

お互いがナチュラルパークの戦いの場所にすでに来ていた。

「かたき討ちなんざやめろよテリー、
今のあんたをギースの所へ行かせるわけにはいかねぇな。
やっぱよ!ダチにみすみす人殺しをさせるような真似は俺には出来ねぇ」

「――退け!」

 テリーは言うが早いかストレートを出したが、それをジョーがスウェーで躱しながらのキックでそれに答えた
テリーはそれを寸ででアームブロックをしてガードをした。
ジョーは数歩下がってバランスを取った。

「俺の目的を邪魔するなジョー」

 テリーが空気を取り込む呼吸音を上げ、拳を地面に叩きつけた。
全身の闘気を発し闘気の波がジョーに襲い掛かった

「パワァァウェイーブ!」

 ジョーは腰を屈めた防御の姿勢のまま、くぅー、と感嘆するように笑ういながら

「効くな~」

そのまま身を捩り、威力、スピード共に最高に乗った突進蹴りを返して来た。

「スラッシュキィィィク!!」

「くぁっ!」

 受けた腕が、軋む。

「気後法を使えるのか?」

 ジョーはこれまでの対戦
ハリケーンアッパーとパンチの連打の爆裂拳は使用していたがそれ以外は全く使用していなかった。
気功法の技術は世界各地にあるけれど、具現化させるまでの気功法は当然ながら一般的ではなかった。
その威力は数トンにもあたる破壊力を持つと言われている。
蹴りに至っては数十トンにも及ぶとも
その威力をジョーに見せつけ世界が違うんだぞって教えようとしたテリーにそのお返しとしてジョーも本気になった。

「アンディの野郎がケチケチしやがってな。
何度か戦っているうちに盗ませてもらったぜ。
アドバンテージにはならんぜ、テリー?」

 改めて俺は思ったジョー・東は天才なんだと
テリーやアンディは強いけれど師匠がいた
でもジョーにはそんな相手はいなくて地力でここまで来た
これを天才と呼ばずしてなんというべきなのだろうか
一緒に見ていたアンディはケチってな
奥義をそんな簡単に教えれるかってッて言ってる

「オラオラァ!」

 ジョーが猛然と駆ける。
ジャブから始まり、ストレート、ミドルキック。サウスポースタイルからの受け難いラッシュ。
そのどれも重い一撃が、闘気を乗せての攻撃だがそれすらもテリーはこぶしを撃ち返した。
 ジョーも苦悶の笑いを上げる。
八極聖拳は闘気を操る技なのだから、テリーにも同じように、気功防御を突き抜ける威力がある。
しっかりとブロックしなければダメージはほぼないと言ってもいいだろう

 テリーはジョーの手数の合間を縫ってボディブローを浴びせた。
今度は笑えない。ただ苦悶するだけのハードヒットだった。
瞬間、頭の下がったジョーに、遠心力を付けたバックスピンキックを放ち、
大きく弾き飛ばした。

「流石兄さんとジョーだ」
「テリーってここまで強かったんだね」

「パワァァウェイーブ!」

 本日二発目のパワーウェイブは手加減無しの全力で放たれた、バズーカのような波動だった。

「ジョー! お前とは、生まれた場所が違うんだよ!!
お前は表の世界でやっていればいいだろう」

 必殺の一撃をガードしたのだが熱と衝撃で赤くなっていた。
立ちあがるのがウソみたいな一撃を根性だけで立ちあがった。 
その様子が何かの冗談のようで、テリーは追撃が出来ないでいた。

 テリー自身これで終わりとでもいうぐらいの一撃を入れたはずなのに

「――確かになぁ。俺の生まれた国は世界一平和な国だ。
殺し、殺されかたき討ちなんてまず起きねえ平和な国だ
でもよ、テリー・・・ そんなの俺たちが戦うのに関係あると思うのか?
そんなのただの不純物だぜ
熱く魂が燃えるぐらいのファイトは生まれた場所では決まらないぜ」

 ふら付きながらも、しかし強い口調でジョーは言った。

「格闘家は俺もお前も、大馬鹿野郎ばかりだ。闘いの中でしか生きられねぇ。
復讐なんて不純なもの取っ払おうぜ 。思い切りケンカしようぜ!
馬鹿は馬鹿らしくよぉ!!」

 ジョーは拳で無理矢理足に息吹を与え、テリーへと駆け出した。

「ハリケェェェェンアッパァァァ――ッ!!」

 ジョーの代名詞でもあるハリケーンアッパー
丈の左の拳から風が巻き起こる。
パワーウェイブにも劣らない衝撃波が、地面を擦りながらテリーを吹き飛ばした。
気ではない、空気が生んだ竜巻は気功防御の中和には干渉されない。
服と皮膚にナイフで切られたような細かい傷を何個も作り、
テリーは呆然と中腰で、足をふらつかせながらも笑うジョーを見ていた。

 何で、闘ってる…… こんなに楽しそうに、ジョー……
俺はこんな風に10年間戦った事は無い
ギースを倒すために費やしてきたんだ
楽しさでやっているジョーや綾とは違うのに
なぜこんなに殴り合えるんだ・・・

殴り合っていた。
訳も解らず、このジョー・東という男と殴り合っていた。
滅茶苦茶な呼吸で、滅茶苦茶に拳を繰り出した。
戸惑いと、焦燥と、嫉妬が、テリーに防御を忘れさせた。

殴る。殴られる。殴る。
ただそれだけの、子供のケンカ。
だがそれが、何よりも熱かった。
フットワークすら忘れた、足を止めてのパンチの打ち合い。
ジョーに拳を打ち込む度に、少しずつ、少しずつ、繋がって行く。
それが不快で、どこか、浮いたように、気持ちが良くて、
テリーは夢中で、拳を打ち続けた。
その拳に、想いに応えるように、ジョーもまた打ち続けた。
まるで二人が踊っているみたいに・・・


 大歓声が上がる。
集まっていた観客達が、ジョーの、テリーの名を呼びながら、
口笛を鳴らし、空気に拳を放ち、手拍子で、彼らを支えている。


「うおおおああぁぁああああぁ――――っ!!バァァァン・ナァコォォォォ」

テリー・ボガードの、ジェフ・ボガードの魂の篭ったグローブが、ジョーの顔面へと、最後の一撃を打ち込んだ。
よろめき、そして両手をダラリと、ジョーは、棒立ちに立っていた。

「テリー…… あんたのパンチ…… めちゃくちゃ痛てぇぜ……
もう今みてぇに何もかも忘れてよ、夢中でそいつを、ギースの顔面にくれてやれ……!きっと、参ったっていうぜ」

 大歓声に見送られながら、ジョーは前のめりに、しかし笑って、崩れ落ちた。

ギースへの憎しみは変わらない。
殺してやりたいと思っている自分も、間違いなくテリー・ボガードだ。
闘いを楽しいものだと思い出させてもらった
ありがとう、ジョー。
この闘いに生きて帰って来れたら、俺もお前みたいに――


テリーの去って行く背を、ジョーは仰向けに体を転がし、大の字になって眺めていた。

 ダチに一番も二番もねぇけどさ、テリー。
あんたとは、最高のダチになれそうな気がしたんだよ。
絶対、生きて帰って来いよ。
もう、それだけで良いわ――


「ジョー兄負けちゃったね」

「まぁいいさ、言いたいことは言ったしな
綾あいつを回復させることはできるのか?」

「流石にあのまま戦うんなら不利だよね」

「なんで準決と決勝を当日にやるのかね」

「そう言えば急に予定が変わったね」

「それだけ脅威に思っているのかもな」

「見に行くの?」

「当然だろ」

「私はすぐに向かうけれど、ジョー兄はゆっくり来てね」

「あぁ」

 俺はすぐにテリーを捕まえて人気のないところに行き回復をさせた。

「サンキュー綾」
「私もジョー兄に賛成だよ、テリーたちに憎しみって似合わないと思う。
戦ったうえでの不慮の事故なら仕方ないよね」

「心配かけたな」

「それも友人だからだよ。私の中のいい友人が言ってた。苦しいときに損得考えずに動けるのが友人だって、後は見守ることも友人の役目って言ってたかな」

「いい友人がいるんだな」

「かけがえのない友人だよ。私はテリーたちともそんな友人関係でいたいかな」

「あぁ、体が楽になったよ、行ってくる」

「いってら~」 
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