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夢幻水滸伝

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第十六話 内政その八

「人手は。予算は二割ですね」
「多めにか」
「それだけ必要です」
 そう判断したからだというのだ。
「投入します」
「そうか、それやったらな」
「はい、その様にします」
「あとですわ」
 今度は弥生が言った、やはり現場を見つつ。
「裏からもです」
「観るべきか」
「はい、あえてこうして姿見せて見回るのも監督になりますが」
「それやとショーウィンドゥやな」
「見せたいところだけ見せたりしますし」
 それでというのだ。
「その見せたくないところもです」
「見るってことか」
「はい」
 その通りだというのだ。
「そうしましょ」
「それは欠かしたらあかんか」
「世の中表と裏があります」
「何でもやな」
「これはお金だけやないです」
 この世界にもある、日本や多くの国では貨幣だけでなく紙幣もある。。
「ありとあらゆることについてです」
「表と裏があって」
「それで裏もやな」
「見ましょう」
「わかったわ、ほな後でな」
「姿を消してです」
 術を使ってというのだ。
「そうしましょう」
「わかった、そしてやな」
「やるべきことをやりましょ」
「若し不正があれば」
 太宰は再び中里に言った。
「正します」
「不正は裏にこそあるしな」
「堂々と不正を行う者なぞそうはいません」
 太宰は言い切った。
「疚しいものを感じますし見られるとまずいので」
「だからやな」
「そうしたことは裏で行うことが常です」
 そうだというのだ。
「ですから」
「裏も見てそしてやな」
「不正を調べましょう」
「わかったわ、それがない様にせなな」
 中里も確かな声で頷いた、そしてだった。
 三人は姿も隠してそうしてだった、そちらも見た。幸いこの国ではこれといった不正はなかったが。
 それでもだ、太宰は中里に言った。
「なくて当然とすべきであり」
「あったらやな」
「それ自体を問題とすべきです」
 こう言うのだった。
「監督が足りなかったということであり仕組み自体にもです」
「不正の温床がないか」
「そうしたことも考えられるので」
「不正が見付かればか」
「その都度正していきます」
「そうしていかなあかんか」
「はい」
 その通りという返事だった。
「これもまた政です」
「腐敗は許すなか」
「そうです」
 これまたその通りという返事だった。 
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