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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十八話 大浦天主堂その一

                 第百十八話  大浦天主堂
 長崎の中華街は横浜や神戸のそれに比べると規模が小さい、けれどここにしかない魅力が存在していてだ。
 お土産も同じだ、僕はお土産屋さんに他の皆と一緒に入ったうえでそのうちの一つを見て手に取ってから言った。
「これは小野さんに」
「あの人にですね」
「お土産としてですか」
「はい、娘さんにも」
 こう早百合さんと裕子さんに答えた。
「そうします」
「ご自身には」
「いえ、僕は別に」
 自分自身にはとだ、僕は裕子さんに答えた。
「いいです」
「そうですか」
「そう考えてます」
「そこをです」
「自分にですか」
「買われてもいいと思いますが」
「そうしたものですか」
 少しだ、僕は裕子さんの考えを聞いた。そのうえで言った。
「そうですか」
「どうでしょうか」
「そうですね」 
 ハウステンボスで買ったのでまあいいかとも思っていたけれどだ、裕子さんの勧めを受けて考えなおした。そのうえで言った。
「それじゃあ」
「はい、それでは」
「そうさせてもらいます」
「それでいいと思います」
「じゃあ何か買います」
 それでだ、中華風の扇子を買った。何か妙に扇子が好きで買ってしまう。そしてたまたま目に入った縁起ものもだ。
 手に取ってだ、こう言った。
「親父に」
「そうされますか」
「そう思いました」
 たまたまにしてもだ。
「それもいいですよね」
「はい、そう思います」
「親父ですから」
 今は一緒に住んでいないし常識三段飛びの人間でもだ。
「買います」
「それでは」
「はい、災厄避けに」
「いいですね」
「あの親父も大概色々ありますからね」
 何股かけてるかわからないしいつも大酒を飲んでいる、そんな親父だから災厄もあるだろうと思ってだ。
「送ります」
「今はイタリアの方におられますね」
「ヴェネツィアに」
 今はそこにいるらしい、あの水の都だ。
「パスタとピッツァを楽しんでいるとか」
「それは何よりですね」
「はい、しかし」
「しかし?」
「スタイルはそのままです」
 日本にいる時とだ。
「昔からスタイル変わらないんですよ」
「飲んで食べられても」
「そうなんです」
 これがだ。 
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