八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十六話 長崎の街その二
「長崎にいるだけに」
「特に中華街に行って」
「召し上がられていました?」
「ちゃんぽんを」
まさにそれというのだ。
「そうしていました」
「そうですか」
「はい、やっぱりです」
「ちゃんぽんはですね」
「大好きです」
そうだというのだ。
「私も」
「じゃあ今回は」
「昨日食べました」
そうだったというのだ。
「そして今日もです」
「召し上がられるつもりですか」
「そのつもりです、楽しみです」
にこりとして言うのだった。
「今日もまた」
「裕子さんはちゃんぽんがかなりお好きで」
早百合さんも言う、僕達は四人で路面電車の駅に向かっていた。長崎の駅前のその駅にだ。駅といっても路面電車の駅だ。
「随分と美味しそうに召し上がられていました」
「そうですか」
「ですから」
裕子さんがまた言ってきた。
「今日もお昼に食べます、そしてカステラもです」
「そちらもですか」
「食べます」
そうするというのだ。
「そのつもりです」
「カステラは」
「実家で」
「あっ、そうですね」
言われてだ、僕もわかった。裕子さんの実家は喫茶店だ。長崎の喫茶店ならケーキやクレープ等以外にもだ。
「食べられますね」
「ですから」
「それで、ですね」
「はい、食べます」
そうするというのだ。
「そうします」
「ご実家でカステラを食べて」
「中華街でちゃんぽんを」
「そうされますか」
「そして観光地ですので」
中華街もそうだし裕子さんのすぐ近くにあるグラバー園もだ。そしてあの辺りには他には大浦天主堂もある。
「ですから」
「それで、ですね」
「そちらもです」
まさにというのだ。
「ご期待下さい、といいますか」
「はい、前にも行ってますので」
「ですからもうご存知ですね」
「そうです、ですがそれでも楽しみです」
「お気に入りの場所ですね」
「そうです」
まさにだ、長崎のどの場所もだ。僕はこの街自体が大好きだ。ただ原爆のことは実は頭の中にあまりない。
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