八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十五話 長崎へその十六
「では今から」
「裕子さんの地元にですね」
「行きましょう」
是非にというのだった。
「そうしましょう」
「嬉しそうですね」
「実際にです」
「嬉しいんですね」
「そうです、やはり実家は違います」
にこりとしてだ、僕に言ってくれた。
「この旅行中毎日思っていることですが」
「ここに来る時は」
「そうです、楽しみで仕方がありません」
生まれ故郷である長崎に戻るこの時はというのだ。
「私としては」
「じゃあその楽しみを心に持って」
「今から行きましょう」
その長崎にというのだ。
「是非」
「ではです」
今度は奥さんが言ってきた、いつも和服を折り目正しく着ている。その着物は所謂ばあやさんが着ているものだ。
その奥さんがだ、僕達にこう言ってきた。
「皆さん降りられる用意を」
「ここが終点ですよね」
「そうです、ここから先はありません」
その長崎駅からはだ、このことは佐世保駅も同じだ。どちらも九州ひいては日本の西の西にある街だ。当然長崎の中でも。
「ですがすぐに降りられて」
「長崎にですね」
「行きましょう」
「わかりました」
僕は奥さんに微笑んで応えた。
「それじゃあ今から降りる用意をして」
「停車しましたらすぐに」
電車は動いている時は立ち上がらない、危ないからというのだ。
「そうしましょう」
「それじゃあ」
僕も応えた、そして降りる用意をして電車が駅に着くのを待った。そして電車が完全に停車してからだった。
僕達は電車を出た、そして四人で長崎の駅に降り立った。今日はこの街を早百合さんと裕子さん、それに奥さんと一緒に巡ることを思いながら。
第百十五話 完
2016・11・8
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