八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十四話 ワインとデザートその十
「鰐もいないし」
「ベトナムと違ってですか」
「鰐って海にも出るのよ」
入江とかにいるらしい、だからイリエワニという鰐もいるのだ。
「それもいないから」
「安心出来ますか」
「本当にね、さていよいよね」
「はい、食べ終わりますし」
「花火とイルミネーションをね」
「本格的にですね」
「観ましょう」
その二つをというのだ。
「今から」
「そうね、じゃあ食べ終わったらね」
「観ましょう」
花火もイルミネーションもだ、その両方をだ。
僕達は観に外に出た、するとだった。今まさにだ。
最初に花火があがった、赤と青それに黄色の大輪が夜空に咲いていた。そして周りは昨日と同じだった。
光の世界だった、僕はその世界を観て言った。
「今日もいいね」
「そうね」
ダオさんは微笑んでだ、僕に応えてくれた。
「昨日も観たけれどね」
「そうだね」
「今日観てもいいわね」
「ダオさんイルミネーションも好きだよね」
「大好きよ、ただね」
「虫はだね」
「虫は光に寄るから」
この習性がある、実際に。
「どうしてもね」
「だからね」
「虫は気になるわ、けれどそれを抜いても」
「いいよね」
「観る価値はあるわ」
ダオさんは微笑んで言った。
「それにベトナムより少ないし」
「その虫が」
「熱帯よ」
何といってもというのだ。
「それは多いわよ」
「やっぱりそうなんだ」
「吸血蝙蝠はいないけれどね」
所謂チスウイコウモリはというのだ。
「東南アジアには」
「ブラジルだからね」
ニキータさんのそのお国だ。
「あの蝙蝠がいるのは」
「それはいないから」
「それはいいことだね」
「あの蝙蝠は危険ですね」
小夜子さんはイルミネーションだけでなく花火が上がる夜空も見上げていた、もうすぐ二発目が上がるその空を。
「狂犬病を感染させるので」
「死ぬからね」
狂犬病と聞いてだ、ダオさんはすぐに言った。
「感染したら」
「そうです、ですから」
「あの病気がないことはね」
「日本にはですね」
「素晴らしいことよ」
「昔はありました」
小夜子さんは二発目の花火を見つつ言った、二発目は白と赤の大輪だった。それもまた実に奇麗だった。
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