八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十四話 ワインとデザートその九
「取り返しのつかないことになるから」
「そうですね」
先に思ったグループは球団もテーマパークも劇団も百貨店の一つも潰して残ったのは年間千億円の赤字を生み出す何とか村とかあと新しく建てたやっぱり赤字の百貨店だけらしい。社長は会長になったらしいがワンマンで一度決めたことは絶対に変えないらしい。しかも秘書と経理の責任者をしていたのでそのことも強いらしい。考えれば考える程経営者としては最悪だとだ、一族の総帥さんが忌々しげに言っていた。
そんな経営者のことをもいつつだ、僕は二人の話を聞いていた。
「その場合は」
「そうなるよりもよ」
「決めたことでもですね」
「必要ならね」
「変えますか」
「そうしてるわ」
こう小夜子さんに話していた。
「臨機応変に」
「臨機応変主義ですか」
「そうなの、ダオは」
まさにというのだ。
「それが第一なの」
「成程」
「だってジャングルで虎や豹に会ってよ」
随分と極端な例だった、しかも日本では絶対にないことだ。
「迷ってたらね」
「食べられてしまいますね」
「その手に持っているものを迷わず振り回さないと」
「それもすぐにですね」
「持っていなくても最善の策を迷わずに決めて」
「どうするかを決めないとですね」
「食べられるから」
文字通りにそうなるからだというのだ。
「すぐに決めないと」
「いけないのですね」
「そう、お祖父ちゃんに言われたの」
ベトナムの、というのだ。
「戦場でもそうだったって」
「ベトナム戦争ですか」
「フランス軍は弱かったらしいけれどね」
何かこの国はよく自分達は強いと言うけれど負けが込んでいるイメージが強い、阪神タイガースみたいだと言うと言い過ぎか。
「一番ちょろかったそうよ」
「ちょろい、ですか」
「最初に戦って一番弱かったって」
「そうですか」
「けれどそんな相手でも戦場で迷っていたら」
「死にますか」
「ジャングルの中でね」
ベトナム戦争だった、この戦争はアメリカとだけでなくそのフランスや中国とも戦っている。もっと言えば統一の為の内戦が途中のメインだったし色々な国がそれぞれの立場で参戦している複雑な国際戦争だった。
「毒蛇も毒虫もいるし」
「蠍等が」
「本当に迷っていたらね」
「死にますか」
「蠍が怖かったらしいわ」
これまた日本にはいない生きものだった、沖縄には毒がない種類がいるにはいる。
「とりわけ」
「蠍ですか」
「ダオも注意しろって言われてたわ」
「蠍には」
「ええ、だからね」
「戦場では迷うなですね」
「あと敵は人間だけじゃないってね」
そんな戦場で戦って勝ったベトナム人は本当に凄いと思った、そういえばあのモンゴル帝国も退けている。
「言われたから」
「自然もですね」
「敵ってね」
「過酷ですね」
「いや、ここの海とか運河はね」
ダオさんはこんなことも話した。
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