八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十四話 ワインとデザートその八
「ですからもう止めておくべきかと」
「そうね」
ダオさんも納得して頷いた。
「じゃあ今は楽しめばいいね」
「そうしましょう」
「是非ね、いやアイスも美味しいし」
「そうですね」
「やっぱりお抹茶はね」
このアイスはというのだ。
「いいわね」
「チョコレートもいいですよ」
「何かそう言われると」
「食べたくなりましたか」
「ちょっとね」
少し笑ってだ、ダオさんは答えた。
「そうも思ったわ」
「チョコレートもいいですからね」
「そうなのよね」
「お抹茶もよくて」
「それを言うとストロベリーもね」
こちらもというのだ。
「いいのよね」
「結局何でもね」
「はい、そうなりますね」
「難しいことに」
アイスのこの問題は実に複雑かつ難解なものである、迷った場合その答えは容易に出ないことも多い。
かくいう僕もだ、今はバニラを食べているが迷ったことはある。その時の逡巡は一瞬でも永遠の様に感じられるものだ。
そのことを思い出しているとだ、ダオさんは小夜子さんに言った。
「けれど決めたから」
「お抹茶にですね」
「もうこれでいいわ」
「そうですか」
「ええ、お抹茶って決めたからね」
それ故にというのだ。
「ダオはこれでいいわ」
「お抹茶で」
「もうこれでね」
「一度決められたらですか」
「もう変えない主義なの」
「そうですか」
「相当やばいことなら別だけれど」
それこそ自分のグループが持っている球団の合併を決めて世間から何を言われようが何故か赤字が言う度に十億円単位で増えていくことも矛盾を言われようが決断を変えない社長も日本にはいる、その間ファンや選手を散々ないがしろにする発言を繰り返しつつ。
「基本はね」
「変えられることはですか」
「しないの」
「そうですか」
「そういうの好きじゃないから」
「しかも決める時はですね」
「即決主義なのよ」
迷わずにというのだ。
「決断は早くよ」
「そして変えないですね」
「それがダオだからね」
「美点ですね」
「決断は早くて変えないことは」
「それでいて相当まずい場合は変えられることも」
「そりゃね、まずいと思っても変えなかったら」
それこそというのだ。
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