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夢幻水滸伝

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第十一話 岐阜城にてその二十一

「僕もそれでな」
「ああ、もう決まったけどな」
「ええと思うで」
「自分の意見はそれやな」
「美濃と尾張全部取ろうと思ったらな」
 芥川の最初の考えをここで反芻して言うのだった。
「やっぱりな」
「かなり苦労するやろ」
「ああ、そうなるわ」
 実際にというのだ。
「長い時間かかって西の動きに反応しにくいやろ」
「そっちで大きく動いたらな」
「そもそも今東海をどうこうするつもりがないならや」
 芥川が今は東海を飲み込むべきでないと言ったことからの言葉だ。
「別にや」
「美濃の半分位でか」
「抑えてもええやろ」
 こう言うのだった。
「まだな」
「よし、ほなな」
「ここは講和でええやろ」
「よし、そういうことでな」
 三人の意見が一致した、それならというのだ。
 関西の考えは決まった、そして東海もだ。
 坂口は雅の意見を聞いたうえでだ、滝沢に問うた。
「おみゃあさんもそれでいいぎゃ?」
「はい」
 滝沢は確かな声で答えた。
「確かに美濃の西は惜しいですが」
「それでもだぎゃな」
「ここで関東を抑えないと」
 そうしなければというのだ。
「我等は関東に飲み込まれてしまいます」
「だからぎゃな」
「飲み込まれては本末転倒です」
 それ故にというのだ。
「ここはです」
「講和ぎゃな」
「左様です」
 滝沢もこう言うのだった。
「止むを得ないかと」
「わかったぎゃ」
 坂口も頷いた、こうしてだった。
 彼等の考えも決まった、そして綾乃と坂口がエルフに言った。
「講和するで」
「そういうことでな」
「わかった、では室生由紀夫の名においてだ」
 エルフはここで己の名を言った。
「双方の講和が成ったことを確認する」
「ああ、自分室生か」
 中里は彼の名乗りを受けて目を瞬かせて言った。
「そうやったんか」
「気付いていなかったのか」
「ああ、エルフやしな」
「エルフでも顔立ちはそのままだと思うが」
「そういえばそやな」
 中里は室生の顔をまじまじと見つつ頷いた。
「髪と目の色も」
「そうだな」
「エルフって確か金髪と緑の目やったけど」
「この世界ではそうは限らない」
「黒い髪と目のエルフもおるか」
「私の様にな」
 そうだというのだ。 
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