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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十四話 ワインとデザートその四

「それは」
「うん、日本でもお金かかってるし」
「相当なものでしょ」
「そうだろうね」
「ベトナムも昔に比べてかなり豊かになったけれど」 
 東南アジア全体がだ、もう昔の貧しい国々でないことは確かだ。
「それはね」
「無理なんだね」
「まだまだね、まあこの前降ったわ」
「雪が」
「五十一年降りだったらしいわ」
 阪神タイガースの日本一より珍しいものだということがわかった、戦後七十年以上あって一回しか日本一になっていない。
「その雪が」
「見ないで死ぬ人もいそうだね」
「ええ、ダオもニュース聞いてびっくりしたから」
「じゃあ雪は」
「そこまで貴重だから」
「冬が待ち遠しいんだ」
「寒いことはわかっていても」
 それでもというのだ。
「楽しみよ」
「そうなんだね」
「さて、降ったら」 
 それからのこともだ、ダオさんは言った。
「滑るわよ、草じゃなくて雪のスキーをね」
「草スキー?」
「ベトナムじゃそのスキーよ」
 やはり雪がないからだ、そうなるというのだ。
「ダオはあまりしてないけれど」
「そうしたスキーもあるんだ」
「そうなの、じゃあね」
「うん、冬になったらね」
「スキー場行くわよ」
 僕と小夜子さんに言ってきた。
「いいわね」
「うん、じゃあね」
「その時は」
「クリスマスにスキーとか」
 ふとだ、ダオさんは顔を正面にして見上げてだった。微笑んでこんなことを言った。
「憧れるわ」
「ではその時にも花火も」
「観たいわ、やっぱりね」 
 何といってというのだった。
「日本に来たらそういうのも楽しみたいから」
「冬も雪もスキーも」
「全部ね、夏は今楽しんでるわ」
 抹茶アイスを食べながらの言葉だ。
「たっぷりとね、それじゃあ」
「冬だね」
「その前に秋もよ」
 この季節もというのだ。
「楽しませてもらうわ」
「あっ、その季節もなんだ」
「ええ、充分にね」
「紅葉がいいですね」
 小夜子さんはチョコレートアイスを食べつつ言った。
「秋は」
「ああ、山の葉の色が変わるのよね」
「実際に紅色に」
「紅葉っていう木の葉が」
「そうです」
「あと金色にもなるのよね」
 ダオさんはこの色も出してきた。 
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