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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十三話 別の楽しみ方その四

「驚くべきものよ、ナポリタンもよ」
「ああ、ナポリタンは日本のパスタだからね」
「あれベトナムにもないから」 
 ダオさんははっきりと言い切った。
「イタリアの子にも聞いたけれど」
「ないんだよね、ナポリにも」
「これそのナポリの子の言葉よ」
「確かシッチーナ君だったかな」
 一年生のバレーボール部の子だ、ナポリで生まれ育っていてあちらにいた時からバレーをしているとのことだ。
「ダオさんと同じクラスだったね」
「そのシッチーナから聞いたのよ」
「ナポリタンはイタリアにはないって」
「そのナポリにもね」
 イタリア南部だ、長靴の先のところだ。
「ないらしいわよ」
「僕子供の頃ナポリタンはイタリアのものだって思ってたよ」
 それこそ完全にだ。
「イカ隅のパスタと同じでね」
「ネーロね」
「そう、あれとね」
「あれも美味しいわね」
 ダオさんはこちらもお気に入りだった。
「最初インクか墨かって思ったけれど」
「それ漫画でも言われてたよ」
 今も連載している奇妙な冒険のシリーズだ、その第二部で主人公がイタリアに行った時に店員の胸ぐらを掴んで言っていた。
「そして美味しいから食べろって言われてたよ」
「実際に美味しいわ」
「あれはイタリアだよ」
 イカ墨のスパゲティはだ、今はスーパーで普通に売っている。
「完全にね」
「そうよね」
「ただ、ナポリタンはね」
「実際によね」
「日本のものなんだよね」
 洋食が日本に入った際に生まれたものらしい、ケチャップを使ってそうして作ったものが何故かこの名前になった。
「あれはね」
「そうよね、それでこれから行くお店には」
「ナポリタンはないよね」
「ええ、タワーシティの方にあるお店だけれど」
 そちらは、というのだ。
「なかったわ、ナポリタンは」
「そうなんだね」
「海の幸のパスタやペペロンチーノはあって」
「他にもあるよね」
「ペスカトーレもあったわね」
 これもイタリアが発祥らしい、大戦中にアメリカ軍が来た時にアメリカ軍の食材を使って作ったものらしい。
「ベーコンと卵と生クリーム使った」
「あれもあるんだ」
「トマト系もね」
「楽しみだね」 
 このことまで聞いてだ、僕は言った。
「それはまた」
「そうでしょ」
「うん、パスタ自体が好きだし」
 僕の大好物の一つだ、オリーブオイルを絡めてガーリックを効かせているのが最もいい。チーズも欠かせないだろうか。
「今から楽しみだよ」
「そうよね」
「トマトも好きだし」
 パスタにトマトの組み合わせもだ。 
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