夢幻水滸伝
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第十話 関ヶ原の夜戦その三
「ええな」
「ああ、思いきりな」
「相手は木や岩を落としてくる」
「最初にそれをやな」
「全力で潰す」
敵が落としてくるそうしたものをというのだ。
「それでええな」
「わかってる、相手の策にやられてるふりをして」
「逆に攻める」
「これが軍師の策やしな」
「その通りにやればやな」
「この戦は勝てるわ」
鵺は断言した、その断言には揺るぎない信頼があった。
「伊達に四智星とちゃうで」
「それが出来る頭があるんやな」
「そや、そもそも軍師を信じへんでな」
「戦は出来へんな」
「それは軍師も同じで大将や将兵を信じられんとや」
軍師の方もというのだ。
「戦は出来ん」
「お互いを信じることか」
「しっかりとわかってな」
そのうえでというのだ。
「やってこそや」
「そういうことやな」
「そやからええな」
あらためてだ、鵺は中里に告げた。
「これからな」
「芥川の言う通りにやな」
「やったるで」
「そうしよか」
中里は既に身構えている、そしてだった。
敵の間合いに向かっていた、彼は鵺と共に敵の出鼻を挫くつもりだた。
だが東海の軍勢は彼等のそのことに気付いていない、坂口の横に戻ってきていた雅は彼に確かな声で告げた。96
「では」
「いよいよだぎゃ」
「用意してある岩や木を落とし」
「そしてだぎゃ」
「敵を追い落としましょう」
「わかったぎゃ」
坂口も強い声で答えた。
「それではこれよりぎゃ」
「岩や木を落とし」
「そして我等もだぎゃ」
「攻めます」
彼等自身もというのだ。
「山から一気に追い落としましょう」
「そして山から落とし」
「そこで、です」
「騎馬隊もだがや」
滝沢が率いる彼等をというのだ。
「動いてもらうだがや」
「わかりました、それでは」
「その時になれば」
「一気に勝負を決めるぎゃ」
雅の手筈通りにというのだ。
「それで近江にも攻め入るだがや」
「今関西の勢力は四方に敵を抱えています」
雅は坂口にこのことも話した。
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