夢幻水滸伝
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第十話 関ヶ原の夜戦その四
「山陽、四国、そして北陸と」
「うちが勝ったら同盟を結んでいる北陸もだがや」
「はい、彼等もです」
「近江に攻め込むだがや」
「近江の北は北陸に割譲しまして」
「うちは南だがや」
「そうした約束になっています」
既に外交で話をつけている、雅がそうしたのだ。実は雅は東海の内政と外交の軸にもなっていてかなりのものを見せているのだ、神具である春秋左氏伝は政治力をかなり上げる効果があるのだ。もう一つの神具孫子、孫武ではなく子孫の方のそれは軍略だけでなく魔力も上げる。
「ですから我々はです」
「近江の南からだがや」
「はい、上洛です」
都にというのだ。
「そうします」
「だからだがや」
「この関ヶ原です」
「勝つだがや」
坂口は強い声でだ、雅も応えた。そしてだった。
彼等は時を待っていた、攻めるその時を。しかしだった。
中里は兵達を率いて山を駆け上りつつ敵陣を目指していた、その中で鵺はまた彼に言った。
「ええな」
「ああ、そろそろやな」
「岩とか大木が来るで」
「それをやな」
「わしが一気に粉々にする」
「その口から出す超音波でやな」
鵺が出す息の一つだ。
「木も岩もそうして」
「ああ、それで自分はや」
「刀から出す突風でやな」
「ああ、童子切から出すそれでや」
この刀は衝撃波や気だけでなくそうしたものも出せるんどあ。
「わしが粉々にした木や岩をや」
「敵陣に返す」
「そうせい、そうすればや」
「向こうが攻めるつもりがな」
「逆にやられる、それにや」
さらにとだ、鵺は話していった。
「相手は攻められる備えはしてない」
「攻める備えはしていてもな」
「これはかえって効く」
「備えをしてへんからな」
「しかも意表を衝いた攻めや」
「そやから余計にやな」
「効くで、駆け上がっての攻めは難儀やが」
上に登っていくそれはというのだ、下りる時とは勢いが全く違うからだ。
「そうして攻めるで」
「芥川の手筈通りやな」
「そうする、そしてや」
「騎馬隊にはやな」
「あそこはな」
滝沢が率いている彼等のことも頭に入れているのだ。
「芥川の受け持ちやが」
「あいつのやな」
「あいつも強いで」
鵺は彼のことも話した。
「それも相当にな」
「軍師でもやな」
「自分で戦う軍師って言うてやろ」
「ああ、持ってる神具は戦の為のもんばかりやしな」
「六将星の連中に匹敵する位強い」
芥川、彼はというのだ。
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