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『記憶』

作者:零那
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『父親』



無邪気に笑えない。
穏やかな波音。
青空に鳶の旋回。
そんな一時でさえ沈む。

忘れないでって言われてる。
いつまでも頭から離れない。
貴男の幻を見るの。
あの雨の中、手を繋いで歩いた道。
いつまでもいつまでもすぐ其処に在る。

夢や愛なんて追い求めるだけ無駄だって悟ってた。
ズットズット昔、小学校に入る前から解ってたこと。
でも、それでも、貴男にだけはまた逢える気がしてる。

貴男に向き合う勇気ならいつだって持ち合わせてる。
例えば罵られたとしても、耐えきれるよ。
だって貴男を1人にしてしまったのは事実だから。
子供だったから、解らなかったから、なんて言い訳しないよ。

ねぇ、だから貴男とはまた逢えるよね?
逃げてなんかないよね?
嫌いになんてなってないよね?
今でも貴男の娘だよね?

夢のような瞬間は訪れないと諦めなきゃいけないのは辛いよ...
いつか逢えたなら『久しぶり』って泣きながら笑うんだ、きっと...
ね、いつか逢えるよね...


 
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