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『記憶』

作者:零那
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『殺意』



私を生かすのは憎しみ。
根源には其れしか無かった。
何よりも殺意は生きる糧だった。
其れが本当の私。
貼り付けたような笑顔は仮面。

そのうち愛に似たようなものを知ってしまう。
想像でしか知らない、本当の親が我が子に与える無償の愛。
探し続けてたもの。
望み続けても得られずに諦めてたもの。

大切なものが出来ると今度は怖くなる。
臆病になって情けなくなった。
失いたくないと願い続けた。
出逢ったのは偶然じゃなくて奇跡だよと言った君は美しかった。

殺意に満ち溢れ、腐った此の魂を君は優しく撫でた。

独りで生きてきたつもりは無いけど、誰かを頼ったつもりも無い。
けれどもう独りでは生きてけなくなった。
負けそうになっても君が居るなら乗り越えれる。

自分らしく生きてくなんて難しくて躓いてばかり。
いつかまた逢えるなら、本当にいつかまた逢えるなら...
そんな夢ばかり...

孤独にも殺意にも慣れた。
孵化した蝶はひらひらと月明かりの元で彷徨う。
真っ黒な殺意を腹の底に鎮めたまま...。


 
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