夢幻水滸伝
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第九話 関ヶ原の戦いその三
「数はこちらの方が上ですから」
「兵の数を使いますか」
「ここで星の力に頼りますと」
「負ける」
「確実にそうなります」
雅は正宗に強い声で答えた。
「ですから」
「神星三人だからですね」
「神星の力は一人だけでも圧倒的です」
そこまでのものがあるというのだ。
「ロシアの氷の女帝のお話は聞いていますね」
「四十万の軍勢を一瞬にして葬ったという」
「それも魂も消し去りました」
そうして完全に葬り去ったというのだ。
「女帝の力は極端ですが」
「それでも神星の力を示すものですね」
「そうです、あれを見ましても」
「力を使わせない、ですね」
「この戦いでは」
何があってもという言葉だった。
「そうしなければ勝てません」
「だからですね」
「夜に私が術を仕掛けてです」
そうしてというのだ。
「敵の軍勢と動かし」
「こっちを攻めさせてだぎゃな」
「そして手筈通り攻めてです」
「一気に退けるぎゃ」
「そうします、こうすれば鉄砲も大砲も使えません」
関西の軍勢が多く持っているそうしたものもというのだ。
「こういったものは進みつつ使うことは容易でないので」
「そうだな、そうしたものは確かに」
滝沢は雅の鉄砲等への指摘に確かな顔で頷いた。
「攻撃、特に山を登って攻める場合はな」
「使いにくいですね」
「それもあってか」
「はい、そして空からの攻撃も」
空船や飛べる者達を使ってのだ」
「備えておきましょう」
「こっちが逆にだな」
「鉄砲や弓矢、大砲を用意しておいて」
「迎え撃つか」
「そうします、そちらは私が指揮します」
そうするとだ、雅は自ら話した。
「空からの攻撃への備えは」
「よし、わかったぎゃ」
雅の話をここまで聞いてだ、坂口は確かな顔で答えた。
「では後はぎゃ」
「夜にです」
「仕掛ける、その用意をするぎゃ」
「わかりました」
滝沢、雅、正宗の三人が頷いてだ。東海四万の軍勢は夜に仕掛ける備えに入った。彼等は勝つ為に動いていた。
しかし芥川はその彼等を見てだ、綾乃と中里に話した。
「夜に来るな」
「夜にかいな」
「そや、夜に仕掛けて来るで」
こう綾乃に答えた。
「相手は」
「何でそれがわかったん?」
「数は向こうの方が多いやろ」
芥川はまずは軍勢の規模から話した。
「それも倍や」
「倍あったらか」
「普通は向こうから昼に攻めて来るやろ」
「数を頼りにな」
「そうしてこん、けれど数は確かに向こうの方が多い」
「数が多いなら攻めて来るか」
「そうしてくる筈なのにな」
それがというのだ。
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