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夢幻水滸伝

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第九話 関ヶ原の戦いその一

                 第九話  関ヶ原の戦い
 西から来た軍勢を見てだ、東海の者達は口々に言った。
「兵の数は少ないだぎゃ」
「全くだがや」
「あれじゃあ勝てるぎゃ」
「何ともないぎゃ」
 兵達はこう言う、しかし。
 本陣にいる四人は眉を顰めさせてだ、こう言い合った。
「二万でもだぎゃ」
「油断出来ない相手じゃ」
「そうですね」
「これは尋常でない戦いになります」
 赤ら顔に高めの鼻を持ち背中に翼のある具足と陣羽織姿の男にだ、小柄な大鎧を着た男と漆黒の肌に切れ長の緑の目と長い見事な銀髪、尖った耳を持ち白い神主の服を着た女が言った。
「神星が三人います」
「揃って出てきてます」
「そうだぎゃ」
 赤ら顔の男は白い総髪である、名を坂口雄大という。東海の棟梁であり彼を含めて四人の星達の盟主でもある。天狗族であり左手には天狗の団扇がある。星は天進星だ。
 その坂口がだ、小柄で頭に烏帽子を被っている小柄な男、ホビット族の地飛星である滝沢研二に言った。
「研ちゃん、あんたが先陣じゃが」
「はい」
「相手は神星じゃ」 
 だからだというのだ。
「騎馬隊率いて突撃するが」
「それでもですね」
「用心するんだぎゃ」
「用心しても」
「神星は強いぎゃ」
 こう言うのだった。
「だから迂闊には攻めんことだぎゃ」
「そうですね、やはり」
「騎馬隊はあんたじゃが」
 彼に任せてある、しかしというのだ。
「鉄砲も大砲も数が多いしのう」
「向こうの方がずっと」
「そうそう迂闊に攻めんことだぎゃ」
「それがいいですね」
「関ヶ原に誘き出したのはよかったぎゃ」 
 坂口は今度は神主の服を着たダークエルフの女、地幽星の司馬雅にも声をかけた。
「けれどぎゃ」
「はい、これが神星一人だったらよかったですが」
「三人だぎゃ」
「それが問題です」
「雅ちゃんは三人で来るって言うてたなあ」
「はい」
 その通りだとだ、雅は坂口に答えた。
「出陣前に棟梁にお話した通り」
「そやのう」
「そうでした、ですが」
 雅はさらに言った、少し手が動くがそれと共に見事な胸も動く。見れば白い神主の服の上からもよく目立つ胸だ。
「ここで策がないと」
「負けるのう」
「こちらが」
「だからこっちも四万の軍勢とぎゃ」
「あれを連れて来ました」
「そうだぎゃ、しかしだぎゃ」
「はい、迂闊に攻めますと」
「負けるのはこっちだぎゃ」
「そうなりますので」
「考えていくぎゃ」
「そうしましょう」
「それで棟梁」
 二メートルを超える大柄な僧兵が言って来た、人金星政宗大二郎だ。全身が灰色の毛に覆われている。毛人またの名をムークという種族だ。手には巨大な薙刀がある。 
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