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夢幻水滸伝

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第八話 東へその十四

「そして勝つで」
「それは規定事項やな」
「最初からのな」
「そやから僕等三人揃って出陣したんやな」
 神星の者達がだ、綾乃も入れて。
「それを切り札にして」
「最初からわかってたやろ」
「ああ、やったるで」
 中里はこのことについては笑顔で応えた。
「そして勝って」
「美濃に尾張や」
「その二国取るんやな」
「そうするわ、とにかくあの二国を取ったら連中の勢力かなり弱まってや」
 そしてというのだ。
「こっちは強くなる」
「尾張が特にやな」
「そや、尾張はええ国や」
「あそこを取ってか」
「さらに豊かになってな」
「国力つけてか」
「天下統一のさらなる励みにするんや」
 芥川は中里に対してだけでなく綾乃にも語った。
「美濃と尾張の力も加えて」
「それだけこの戦大きいんやな」
「負けても何とかなるけどな」
「ああ、近江を守ったらええか」
「そうやけどな」
「後はあるんやな」
「けれど勝ったら東海の連中をかなり弱められてや」
 芥川はあらためて話した。
「それでや」
「そこからもやな」
「さっき話した通りな」
「そういうことやな」
「そやから絶対に勝つ」
 積極的、芥川の今の言葉はまさにそれであった。
「その為にやってくんや」
「関ヶ原で勝つか」
「まあ見てるんや、僕のその策と神星三人の力があったらや」
「圧勝出来るか」
「絶対にな、ほな歩調合わせていくで」
「三人でやな」
「一人一人勝手なことせんかったら勝てる」
 確信している言葉は変わらない。
「絶対にな」
「諸将、それに僕達がやな」
「アホが勝手な動きをして負けた戦は多い」
 それこそ枚挙に暇がない、軽挙妄動はそれ自体が戦局を大きく変えてしまう。
「それがなかったらや」
「勝てるんやな」
「そういうこっちゃ、この戦でもな」
「ほな関ヶ原で見せてもらうで」
 綾乃は明るくだ、芥川に話した。
「これからな」
「そうさせてもらうで」
「敵の状況はわかったし」
「関ヶ原でやな」
「芥川君の言う通りにしよな」
 綾乃の声は天真爛漫なまでに明るかった、そして。
 二万の軍勢は遂に関ヶ原に到着した、そこでだった。
 芥川は自分の考え通りに布陣をさせた、山を中心に布陣している敵軍に対峙する形で二万の兵をだった。
 芥川の言う通りに布陣した、そうしてそこでの決戦に赴くのだった。


第八話   完


                      2017・3・1 
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