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その日はいつかやって来る

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13


 ベスパが寝ている部屋に行く私達、月神族やシルクは機能停止させられたので、とても嫌な予感がする。

「ベスパ、起きろよ」

 椅子に座って優しく頬を撫でているこいつ、やはりソッチが目的のような気がする、私の目の前で始めるつもりでは無いだろうな?

「う、ポチ… あたし、負けたんだね…… じゃあ、アシュ様は?」

 パピリオや、自分が乗って来た逆天号の心配より、まずアシュタロスの復活に失敗したと知って、泣き出すベスパ。

「そうだな、残念賞として2分の1の確立で、ルシオラが産まれるかも知れない罰ゲームでどうだ?」

「えっ?」

 飛び起きて言葉の意味を確かめようとするベスパだが、何故そんなに嬉しそうにしている? こいつに抱かれて、ルシオラを産まされてもいいのか? 半分の確立でアシュタロスが自分の物になるなら、体を汚されても平気なのか?

「それっ! それでいいっ! 昔、ミカミの事件の後、犯人探してたお前にヤられちゃったけど、あれから誰にもさせてないからな(ポッ) あの時が初めてで、「男は」お前だけだからな…」

「何だとっ! いつの間にっ、それにお前っ、コード7に掛からなかったのかっ?」

 ベスパは既にこいつに抱かれていたのだ。 それも900年以上前にっ!(怒)

「何であんたが怒るんだよ、ワルキューレ? あの時は、あたしは事件に関わって無いって言ったのに、こいつがどうしても信用しなかったし、もうどうなってもいいって感じだったから」

 顔を赤らめて、当時の状況を話すベスパ。 昔の事なのに、とても腹が立つ。

「それに、ポチがあんまり泣くから何だか可哀想になってな、あたしがコード7で死んでアシュ様の所に行って、ポチも死なせてやろうと思ったけど、終わっても何ともなかった」

「何故だっ!」

 思わずベスパの胸倉を掴んでしまった私。 もしかすると、こいつも私も、当時から支配されていたのかも知れない。

「やめろよ、ワルキューレ」

「ああ…」

「あの頃は、ポチが半分ルシオラになってたから大丈夫なんだと思ってたけど、お前がアシュ様の半身だったなんて… あの時言ってくれれば、すぐにルシオラでも、メフィストでも産んでやったのに、どうして言わなかったんだ?」

「昔は本当に人間だったんだよ、体の構造が変わったのは何日か前だ」

「へえ… じゃあ、久しぶりに「しよう」か(ポッ)、シャワーあるかい? 凄い埃だったし、ちょっと汗臭いだろ?」

「服を脱ぐなっ! 私がいるんだぞ」

「それぐらい気をきかせなよ。 あっ、そう言やあパピリオと逆天号はどうなった?」

 その程度か? お前の妹と逆天号は、その程度の扱いなのか?

「パピリオはちょっと可愛がってやったから、倒れて隣で寝てる。 逆天号はこっちと同化して一隻になった」

「えっ? あたしより先に「ヤっちまった」のかい? 昔は妙神山でよくヤってたそうだから」

「その手があったな、気絶してる間に縛り上げて、録画しながらヤリまくっとけば良かった。 保存してあるのは昔のビデオしか無いし」

「何だとっ! 貴様パピリオにまで手を出していたのかっ!」

「だから何であんたが怒るんだよ。 まさか、まだポチとヤってない女って、あんたの事か?」

「いいや、昔、俺が情報を聞き出した時に、報酬の替わりに…」

「言うな~~~っ!」

 私もミカミの事件の後、こいつが哀れだったからつい… しかし、魂を抜いて楽にしてやろうとしても、取れなかったのでおかしいとは思ったが、まさか魔神の卵だったとはな。

「そうかい、じゃあ、あたしやパピリオがヤってても文句言えた義理じゃないだろ。 あの小竜姫だって、パピリオと3Pで毎日毎日、ドーブツみたいにサカってたそうじゃないか」

「そ・お・な・の・かっ?」

 思わず銃を抜いて、あいつに突き付けてしまった私。 このような無礼が許されたのは、私が女として本気で嫉妬していたからだろうか? それともあれが「お約束」だったからだろうか。

「あれは罰だ、令子を消した罪を一身に受けて、身も心も捧げてくれた訳だ。 だから神族は嫌いでも、小竜姫だけは逆天号に入れた。 まあ、900年も昔の話だから、もういいだろ?」

「良くない、それからも会ってたんだろう?」

「いいや、追い掛けて来ないように、別れ際に記憶は消して、何も無かった事にした。 月にいた頃は神無が見張ってたから、浮気はできなかったし、誰とも会いたくなかったな。 まあ、月神族は中立だったから、取り引きもしたし、守ってやったりもしたけど」

 私と目を合わそうともしないこいつ。 何故人間に、いや、魔神に汚された小竜姫が、人間界や魔界に堕とされないのだ? 絶対密告してやる… 待てよ? こっちに来られたら困る、開き直って「責任を取って下さい」なんて言われたら、邪魔者が一人増えるだけだ。

「ほら、さっさと出て行きなよ、パピリオが起きる前に、ズビシッと一発ヤって妊娠しとくからさ」

「何だとっ?」

「じゃあ、あんたも一緒にするかい? あんたがルシオラ産んでくれたら、あたしがアシュ様産むからさ」

「きっ、きっ、貴様ーーっ!」

 そこで、あいつに後ろから抱き締められて、耳に息を吹きかけられた途端、全身から力が抜けた。

「だ、だめぇ、ベスパが見てるぅ」

「あんた、中々可愛い声出すじゃないか、軍隊で後輩達可愛がってやったみたいに、あんたもたっぷり喜ばせてやるよ」

 そうだ、ベスパはアシュタロスに操を立てていたのか「女専門」だった、いかん、このままでは…

「さあ、脱ぎ脱ぎしようね(ニヤリ)」

「だめぇっ、だめええっ!」

「そうだな、ワルキューレはよく働いてくれたからな、たっぷりご褒美をやろう」

 魔族にとって、自分より上位の者、その上、造物主や支配された主に抱かれるのは、至上の幸福でもある。魔神クラスの者に、一度でも抱かれてしまえば、もう。

「あんっ(は~と)」

 ベスパと私は、それから「御主人様」に沢山ご褒美を頂いた。 その時はどちらがルシオラを産むかなど、考えもしなかった。 「お種」を体の芯に吹きかけて頂けるだけで何度も達し、二人で泣いて許しを請うまで、延々その行為が続いた……

 もちろん、それを隠れて見ていて、自分を慰めていたパピリオが見付かり、「お姉ちゃんにお仕置き」されたり「お義兄ちゃんにお注射」されたのは言うまでも無い。


「あ、あの… これからどうお呼びしたらいいですか? ご主人様、それともマスター?」

 また小娘のように、おどおどしながら問い掛ける私。 ここで魔神と下僕、本来の関係に修正しなければならない。

「駄目だ、ワルキューレは「貴様」とか「お前」って言わないと嫌だ、千年近く付き合ってるのに、今更呼び方変えなくてもいいだろ?」

「えっ? でも?」

「デモもストも無い、いいから今まで通り呼べよ」

「はい… いや、分かった」

 当時の私にとって、この言葉は命令だった。 主の命令には絶対服従、それが例え「俺を殺せ」だったとしても。

「人前で尻を触ろうとしたら、腕が折れるぐらい捻り上げる。 足に纏わり付いてサカろうとしたら蹴り倒す、それがワルキューレだ」

「うむ、そうだな、やはり私はそうでなければ」

 これが当時のあの人の願い。 プレイの一つとしてでは無く、いつでも男勝りで格好良く、狡猾なのが私だった。 あの日、互いに永遠の忠誠を誓い合い、宮廷で花嫁となった、あの時までは。

 それから、私だけ起こされて、腰が抜けたまま「お姫様抱っこ」で艦橋に連れて来られた。 多分、産まれてから一番幸せだっただろう… 世界が輝いて見えていた(は~と)。

『太陽系経営統合本部より通信です、許可しますか?』

「ああ」

 いつの間に太陽系は統合されたんだ? 送信元は最高経営責任者? こいつ… グレートマザーじゃないか。

『忠夫、お前が負けたんなら、どうしてそこに座ってるんだい?』

「ベスパはお休み中だからな、ベッドの中で」

『ベスパって魔族の… また「ヤっちまった」のかっ? この好き者がっ! 敵の大将まで頭がおかしくなるまでヤって、体が離れられないようにしたのかっ!』

「ああ、いつも通りな。これがおふくろの新しい「義理の娘達」だ」

 ウィンドウが開いて、涙とよだれと鼻水と(ぴー)を垂らして、ヌルヌルになっているベスパとパピリオの顔が表示された。 気絶してもまだ喘ぎながら痙攣している、造物主と同じ存在に抱かれて、余程気持ち良かったのだろう。

『ああもうっ、月の女王様といい、神無ちゃんと言い、どうしてお前みたいなボケナスにコロッと騙されるんだろうねえ?』

 月の女王までヤっていたのか? まあ一度でも「アレ」をされてしまえば、もう薬物中毒と同じで、「お注射」してもらう為なら、どんな恥ずかしい「おねだり」でもしてしまうだろう。

 しかしグレートマザーを泣かせるとはさすがだ。 いや、私ももう、義理の娘なのだから、母上に不敬な感情を持つのはやめよう(ポッ)。 私の方が倍ぐらい年上だが。

『それにこっちの子、まだ小学生じゃないだろうね?』

「心配するなよ、こう見えても二人とも988歳の合法ロリババアだ。 (ボソッ)初体験は4歳だったけどな」

『今なんて言った? そっちのあたし、すぐに起きてこいつを殺して』

「魔族だから、産まれてすぐ大人なんだよ。 見た目がチビッ子なのは造った奴の趣味だ」

 アシュタロスはロリコンだと言うのか? それより、いつまでも成長しないパピリオを平気で抱いて、体中の穴という穴を汚した、こいつの方がホンモノだ…

『まさか、そこの「目付きが悪かった」お姉さんも、私の娘じゃないだろうね? そんな可愛らしい顔になっちまって』

 グレートマザーに見られて、小娘のように動揺する私。 どうしよう? こんな時は「息子さんを私に下さい」だったか?

「あ、はい、先程お会いしましたね? 私は魔族の軍から派遣されたワルキューレと言う者です。 今後、息子さんが魔界に行っても、案内役としてお仕えする予定です、キャッ(真っ赤)」

 いかん、「お仕え」と言ってしまった、これでは私が「性の奴隷」なのがすぐに分かってしまう。

『やっぱり。 何回ヤられたの? もう「孫」ができてるんじゃないだろうね?』

「そんな… 何回だったかなんて、途中に何度も気を失って覚えていません(ポッ)。 それと、こっちの大きい方、ベスパがアシュタロスを、私がルシオラを産む事になっています、母上」

 文字通り、開いた口が塞がらないグレートマザー。 私は余りにも嬉しかったので、ちょっとキャラが壊れていて、後で顔から火が出そうなセリフも平気で言っていた。
 
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