夢幻水滸伝
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第七話 夜襲の後でその九
二万近い魂達が消え去ってからだ、鵺はまた言った。
「これでええ」
「消えたな」
「後始末は終わりや」
「完全に殺したんやな」
「そや、この世界での死刑もこうするからな」
「魂まで消す」
「そうする、とにかくこの世界は魂までや」
それまでがというのだ。
「消してこそやからな」
「完全に殺したことになるんやな」
「そういうことや、あと自分等星の奴はな」
「ああ、言うてやな」
「魂は死なんからな」
鵺は中里にこのことも話した。
「そこも覚えておくんや」
「わかったわ」
「まあこれで全部終わったわ」
「じゃあいよいよやな」
「社に行けるわ」
もう進むだけだというのだ、そこに。
「後は出雲の大きな城に率いている将兵入れるんや」
「この国のか」
「月山富田城にな」
「こっちの世界やったらえらい堅固な城やったな」
尼子家の居城だった、毛利元就も攻め落とすのにかなり苦労した。そうした歴史的な経緯もある城である。
「そこにか」
「ああ、率いている将兵達を入れてな」
「そしてやな」
「次の一手に入るで」
「出雲まで行ったやな」
「そや、次や」
「それは芥川と話をするか」
中里は最近会っていない彼のことをここで思い出した。
「そうするか」
「ああ、そうしよな」
「ほな社に入って兵を出雲も置いたら」
「それで僕等はすぐに都に戻るで」
「わかったわ」
中里は鵺に確かな声で答えた。
「そして次の一手やな」
「それに入るわ」
「それじゃあな」
鵺に頷いてだ、そしてだった。
中里は軍勢を再び西に進ませた、そうして数日でだった。彼は遂に出雲の社を見た。それは独特の天に向かう様な木造の空に浮かぶ様に建てられた社まで持つ広く大きな、社が幾つもある大社だった。
その大社を見てだ、中里は言った。
「でかいな」
「この世界でもかなりの大社でや」
「伊勢のそれに匹敵するんやな」
「やっぱり知ってるか」
「ああ、ここも有名やしな」
自分達の世界でもとだ、中里は自分を乗せている鵺に話した。
「そやからな」
「だから自分も知ってるんやな」
「ああ、それでここにやな」
「弥生ちゃんがおる」
その彼女がというのだ。
「ここにな」100
「そや、ほな会いに行くで」
「わかったわ、入るで」
「それやったらな」
こう話してだ、中里は鵺と主な部将達と共にだった。社の中に入りそこの最も大きな宮の中でだった。弥生と会った。弥生は相変わらずだった。
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