夢幻水滸伝
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第七話 夜襲の後でその十
「よお来ましたな」
「元気そうやな」
「はい、この通り」
猫の顔でだ、弥生は中里に明るく答えてきた。
「今朝も御飯一杯食べましたわ」
「それは何よりやな」
「それで中里さんはもっと遅うに来るって思ってました」
「自分もかいな」
「そうですわ」
弥生は中里に明るく話した。
「そこんところは」
「そうか、実際急いだところはあったけれどな」
「社が危ないって思って」
「ああ、それでな」
「実際ここには軍勢あまりいませんし」
「そや、そう聞いてたしほんまにやな」
「あまりいません」
出雲、この国にはとだ。出雲を守る弥生自身も認めることだった。
「それで今回の話にもなってますし」
「山陽の連中が何時攻めて来るかやったな」
「東の連中もいましたし」
「そやな」
「それでも城に篭って守られる位の兵はいますから」
弥生は中里にこのことも話した。
「いざって時はです」
「富田城にやな」
「篭るつもりでした」
「そやったか」
「はい、それにこっちにも鉄砲や大砲多いですし」
この出雲にもそうしたものを多く置いているというのだ。
「それである程度は守られる自信がありました」
「僕が来るまではか」
「そうでした、まあとにかくです」
「間に合ったな」
「それも思ったよりも早く」
弥生はまたこう言った。
「有り難いです、ほな中里さんが連れて来た軍勢は殆どをこのまま山陰の守りに置いて」
「自分が率いるな」
「そうなります」
「頼むで」
「それで中里さんは都に戻りますか」
「一旦な、そこからどうするかはそれからやな」
都に戻ってからだというのだ。
「綾乃ちゃんや芥川と話すわ」
「そうしてくれますか」
「ああ、ただほんま山陽の連中が攻めてきんでよかったな」
「今あの人等は四国と組んで播磨と瀬戸内からうち攻めてきてますねん」
「えっ、同盟結んでか」
「はい、そうしてきます」
「ほな僕もそっちに行くことになるか」
中里は弥生から聞いたその話を聞いて眉を決しさせて言った。
「都に戻ったら」
「そうかも知れませんね」
「ああ、ほなまずは都に戻るわ」
「そうしますか」
「それでや」
中里はさらにだった、弥生に話した。
「山陽の連中を攻める時は」
「はい、うちも動くことになってます」
弥生は猫の顔をきっとさせて中里に答えた。
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