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夢幻水滸伝

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第七話 夜襲の後でその三

「だからだ」
「落ち着いてですか」
「まずは周りを見てですか」
「そのうえで」
「そうだ、夜目が見える奴もいるんだ」
 彼等の中にはとだ、鵺が指摘した通りのことを話した。
「それならだ」
「ここはですね」
「ヴァンパイアやコボルトの目を活かして」
「あと猫人やオークも」
「頭もですしね」
「よく見ればいいんだよ」
 頭目は実際にその夜目を使おうとした、そうして周りを見回そうとしたが。ここでさらにだった。
「ひぃきええええええええええええ!!!」
 奇声と共にだ、彼等の後ろから突風が来た。その突風は彼等を次から次に薙ぎ倒していた。頭目がそこで見たものは。
 首が、腕が、胴がだった。彼等の最後尾から乱れ飛んでいた。見れば赤い馬に乗った人間が二本の方天戟を振り回していた。
 それと共にだ、両手にそれぞれ刀を持った赤い具足と陣羽織を着た武者もだった。
 彼等を次から次に倒していた、やはり首も腕も胴も乱れ飛んでいた。彼等は具足も何もものともせず切り刻んでいた。
 その状況を見てだ、頭目は思わず言った。
「化けものが二人いるぞ」
「何ですかあいつ等」
「武器振り回してその度に十人かそれ位死んでますよ」
「一人でもえげつないってのに」
「それが二人だなんて」
「どうなってるんですか」
「俺が知るか」
 頭目は思わずこう言った。
「そんなことは」
「ですが頭、この状況はです」
「かなり厄介ですぜ」
「とんでもない奴が二人もいますし」
「鉄砲や弓矢がどんどん来ます」
「空からも爆弾が落とされてますし」
「このままですと」
 それこそとだ、ならず者達は狼狽したまま言ってくる。
「皆殺しに遭うのは俺達の方ですぜ」
「あの二人だけでもまずいですぜ」
「あの連中尋常じゃないですぜ」
「まさに化けものだ」
 見れば二人共それぞれの武器で一度に何人も倒しているだけではない、振り回すとそこから雷や鎌ィ足、衝撃波等を放ってだ。それでもならず者達を薙ぎ倒していた。
 中里の強さはまさに鬼神だった、しかし彼の戦い方は理性があった。しかし難波のその戦い方はというと。
「ひきぇえええええええええええええええ!楽しいなあ!!」
 暴れ回りつつだ、こう叫んでいた。その二本の方天戟で斬り回すだけでなくだ。
 赤兎馬で敵を踏み潰し蹴り飛ばす、蹴り飛ばされたコボルトの顔は完全に潰れ血と脳漿を撒き散らして吹き飛んでいく。
 そして次から次にだ、赤兎馬も敵を倒していた。中里もその状況を見て言った。
「赤兎馬も強いな」
「神具だけあってな」
「ああ、馬の常識超えてるな」
 こう言うのだった。 
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