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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九話 観覧車その十

「人間でも生きものでもな」
「やったらいけないことね」
「そうだ、その一人残った人をだ」
「マミーにしたの」
「無理にだ、即身仏にしたのだ」
「それ本当の話だったら」
 ニキータさんも眉をこれ以上はないまでに顰めさせていた、僕もそうなっていたと思う。本当だとしたら言語道断な話なので。
「とんでもないわね」
「全くだな」
「それでこの辺りの海にはなのね」
「怪異らしきものがあるとな」
「そのマミーのせいだって言われるの」
「ネットでの噂だ」
 あくまでそのレベルの話だというのだ。
「何もないことを祈るな」
「本当にね」
「私もそう思う、だがそうした邪法はな」
「実際にやってる人いるかも」
「知れないな」
 井上さんは眉を曇らせたまま言った。
「似た話が関東大震災絡みでもあった」
「あの日本で起こった」
「大正の頃にな」
 教科書にすら出て来る位だ、とてつもない大震災だった。とはいっても神戸でもあったし新潟でも東北でも熊本でもあった。
「あったがだ」
「その邪法が関わってるの」
「そうした噂もあるのだ」
「そうなの」
「あくまでネットで、だがな」
「邪法ねえ」
「それは人が入ってはいけない世界だ」
 井上さんは吐き捨てる様に言った。
「邪法の世界はな」
「若し行えば」
「人でなくなるからな」
「違う存在になるのね」
「そうだ」
 まさにという返事だった。
「姿形は人間でもな」
「まあブラジルでもね」
 ニキータさんはお国の話をここでした。
「そうした話はあるけれどね」
「やはりそうか」
「黒魔術なり何なりとね」
「やはりどの国にもあるか」
「ええ、生贄とかね」
 黒魔術の儀式には付きものか、赤ん坊を捧げるなりしてそうして自分の願いを適える。よく聞く話である。
「あるわね」
「嫌な話だな」
「全く以てね」
「道理で我が学園のオカルト研究会も禁じている筈だ」
「黒魔術とか蠱毒は」
「黒魔術は研究している様だが」
「生贄とかはなのね」
「蠱毒もだ、行えばだ」
「退学とか警察とかで」
「そうだ」
 まさにというのだ。 
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