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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九話 観覧車その十一

「禁じているのだ」
「当然のことね」
「そうだな、人は行ってはいけないものがある」
「そして入ったらいけない世界もある」
「それが邪法の世界だ」
「そういうことね」
「そうだ、断じて行ってはならない」
 井上さんは言い切った、これ以上はないまでに強い声で。
「何があってもな」
「そういうことね、それじゃあ」
「うむ、この話を終えてだ」
「これからよね」
「観覧車に乗ろう」
「それじゃあ」
 二人で話してだ、そしてだった。
 井上さんは僕にも顔を向けてだ、こう言った。
「ではな」
「はい、今からですね」
「観覧車に乗ろう」
 もう見えてきていた、あと少しで乗り場に着く。
「三人でな」
「わかりました」
「観覧車はいいものだ」 
 井上さんは微笑んでこうも言った。
「ゆっくりと上がっていってだ」
「そうしつつですよね」
「景色を見ることが出来る」
「だからいいですね」
「うむ、頂上まで上がりだ」
「また降りていって」
「その間の光景を全て楽しめる」
 微笑んだままでだ、井上さんも答えた。
「左右どちらも観られるしな」
「そうですね、だからお好きなんですね」
「私はな、君もそうか」
「言われてみますと」
 僕もだ、子供の頃から時々観覧車に乗っていた。そしてそのうえで景色を楽しんできた。
「そうですね」
「こうした景色の楽しみ方もある」
「ではな」
「行くとしよう」
 こうしたことを話して、そしてだった。
 僕達は観覧車に乗った、三人で乗ると。
 まずだ、ニキータさんは上りはじめた中でこんなことを言った。
「これがいいのよね」
「まだ動きはじめたばかりだよ」
「この動きはじめがワクワクするから」
 それでとだ、ニキータさんは僕にはしゃぎつつ話してくれた。
「いいのよ」
「そうなんだ」
「うん、そして徐々に上がっていくから」
「頂上に着くまでの感触がいいんだ」
「そうなの」
 ニキータさんにとってはというのだ。
「それで降りるまでもなの」
「そちらでもなんだ」
「ワクワクするの」
「そうなの」
「だから好きなの」
 こう話した、僕に。 
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