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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九話 観覧車その九

「しかも異様に油が出てな」
「船に落ちてくるの」
「その油で船を沈めてしまうのだ」
「だから怖いの」
「そう言われているのだ」
「凄い妖怪ね」
「そして今では自然現象とわかっているが」
 それはというと、僕は話を聞いてわかったが井上さんの話を聞いた。
「不知火もある」
「不知火?」
「夜の海の上に無数の火の玉が出るのだ」
「それが妖怪に思われていたの」
「そうだ、この辺りの海にはな」
「そんなのも出るのね」
「昔は原因がわからず妖怪や怪奇現象と思われていたが」
 実際にそう思われていたらしい、科学的にどういったものかはっきりと明らかにされるまではだ。こうした話も世の中には多い。
「今ではわかっているからだ」
「別に怪しいとも思われていないのね」
「今はな、だが何かとだ」
「この辺りの海には妖怪のお話が多いのね」
「ネットによると呪いがかかった木乃伊を捨てたものもいるしな」
「その木乃伊って何?」
「ミイラのことだが他の国ではミイラと言わないそうだな」
 エジプト等にある乾燥させて保存させる様になっている死体だ、英語ではマミーと呼ぶ。
「ピラミッドにあるな」
「ああ、マミーね」
「それだ、日本では即身仏というが」
「呪いがかかった即身仏をなの」
「密かに海に沈めた者もいるらしい」
「そうなの」
「これは根拠不明な話だがな」
 井上さん自身やや懐疑的な顔で僕達に話していた。
「この話はな」
「それは嘘でしょ」
「ならいいがな、その木乃伊は蠱毒を使ったそうだしな」
「あの生きもの同士を戦わせて最後に残った生きものを使った呪いね」
「これは邪法中の邪法だ」
 まさに魔道と言っていいものだ、うちの学園の部活でもオカルト研究会や魔術研究会といったものがあるけれどそうした部活ではこれを行うと即刻退部そして学校に報告して動物虐待ということで退学及び警察に通報となるとのことだ。
「絶対にしてはいけない」
「生きもののマミー?」
「噂では人間らしい」
 井上さんの眉がここでさらに曇った。
「何でもな」
「人間って」
「所謂奇形というかその人達同士を争わせたらしい」
「何か酷い話ね」
「悪鬼羅刹の所業だ」
 井上さんはこれ以上はないまでの嫌悪も見せていた。
「まさにな」
「というかそれってね」
「決してしてはいけないことだな」
「ブラジルでもしたら」
「罪に問われるな」
「完全に犯罪じゃない」
「そうだ、そうした輩は倫理観がない」 
 邪法中の邪法と言ってもいいそうしたことを行う者はだ。 
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