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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百九話 観覧車その八

「九州の海の話だ」
「ここですか」
「そうだ、しかも長崎に近い」
「五島列島辺りですか」
「確かな」
「すぐそこですね」 
 本当にすぐそこだ、僕達が今いる佐世保とだ。
「まさに」
「そうだ、その恐竜はティロサウルスだったか」
「あの鰐みたいな」
「それだ」
 鰐に似ているが脚ではなく鰭になっていて鰐以上に水中での行動が容易になっている。海の肉食恐竜の一種だ。
「それに似ていたらしい」
「鮫じゃなくて」
「鮫も考えられるがな」
「それでもですか」
「恐竜だと思う、私はな」
 その話を聞いての井上さんの個人的な考えだというのだ。
「あれは恐竜だとな」
「そうですか、この近くにもですか」
「恐竜はまだいるかも知れない」
「それ面白いね、ただね」
 ここでニキータさんが言うことはというと。
「そうそう見付けに行けないわよね」
「うむ、この辺りは波が高いという」
 井上さんはニキータさんにこう応えた、そういえば北西が済州島でその辺りは結構な難所らしい。
「下手に行くとだ」
「危ないのね」
「だから用心が必要なのだ」
「そうなのね」
「それとだが」
 井上さんはニキータさんと僕にこうした話もした。
「この辺りの海は妖怪の話も多い」
「あれっ、妖怪も出るの」
「そうだ、この辺りの漁師さん達は母港以外の港に入るとおまじないをしてから寝る風習があるとのことだが」
 井上さんは妖怪の話もはじめた。
「これは磯女という妖怪を避けてのことらしい」
「磯女?」
「海に潜んでいる妖怪で漁師の血を吸う」
「吸血鬼なの」
「要するにな、日本にも吸血鬼がいるがだ」
「それなの」
「他には首が飛ぶろくろ首や濡れ女がそうだ」
 こうした話をすると日本も吸血鬼が多い。
「そしてその磯女もだ」
「血を吸うの」
「それを避ける為にだ」
「おまじないをしてなのね」
「寝ている」
「そうした妖怪も出るの」
「あとあやかしという妖怪も出る」
 この妖怪の話もしてくれた。
「船の上を通るのだがな」
「それ何でもないじゃない」
「いや、蛇の様な身体で通り過ぎるまで何日もかかってだ」
 怖くないと言うニキータさんに話した。 
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