八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百九話 観覧車その七
「河にもいるからね」
「ブラジルではそうだな」
「そう、アマゾンにね」
僕も聞いていてわかった、アマゾンカワイルカだ。僕は子供の頃イルカというと海にしかいないと思っていてそうしたイルカがいると聞いて驚いた。
「いるわよ」
「アザラシもだな」
「ロシアの方によね」
「バイカル湖にいる」
バイカルアザラシだ、八条水族館にもいるし有名なものは鳥羽水族館のものだ。
「淡水性のそうした哺乳類もいる」
「じゃあそういうの?」
「私はそちらの可能性が高いと思う」
これが井上さんのネッシーへの説っだった。
「いるとは思うがな」
「僕は恐竜であって欲しいけれど」
「私も本音ではそうだが」
「恐竜とは、なのね」
「私は思えない」
残念ながら、という顔での言葉だった。
「そうであればいいのだが」
「残念ね」
「全くだ、恐竜の方がロマンがある」
「そうよね」
「もっともネス湖は違うだろうが」
それでもとだ、井上さんはさらに話した。
「この地球の何処かにはまだ、だ」
「恐竜がいるかも知れないのね」
「そう思う、目撃例も多いしだ」
「多いし?」
「しかも時折海に謎の死体が打ち付けられたりするが」
この話は僕も聞いたことがある、カナダなりオーストラリアなりでこうした話が多い。日本にもあっただろうか。
「深海魚もあるが」
「リュウグウノツカイとか」
僕はここでこの不思議な深海魚の名前を出した。八条水族館には剥製だけあって巨大かつ異様な姿を見せている。
「ああいうのですね」
「あの魚もそれはそれで不思議だがな」
「恐竜も、ですか」
「可能性はある、ある漫画家のお兄さんが漁師さんだが」
「その人もですか」
「恐竜に似た腐乱死体を網にかけたというからな」
そんな話もあったらしい。
「日本の話だが」
「じゃあやっぱり」
「海では案外骨も見付からない」
海の生きものが死んでもだ。
「ましてや海は広い、そして深い」
「物凄く広い世界だからですか」
「そうそう見付かるものではない」
井上さんは言い切った、その口調は何故か某赤い彗星に似ていた。
「人間程度ではな」
「人間の力では、ですね」
「この世の全てを見渡せない」
「だから地球もですか」
「まだまだわかっていないことが多くだ」
「海ですね」
「海は特にだ」
とりわけ、というのだ。
「そうした場所だ」
「それは確かにそうですね」
「尚網にかかった恐竜らしき腐乱死体だが」
漫画家さんのお兄さんが見たそれはというと。
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