八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百九話 観覧車その六
「いるけれどね」
「色々目撃例あるから」
「まだいるかな、恐竜は」
「ネッシーもね」
「ネッシーは恐竜なのか?」
ネッシーの名前が出るとだ、井上さんはすぐに懐疑的な話で会話に参加してきた。
「あれは」
「違うの?」
「目撃の度に外見が違っていたりして角があったりする」
「角ね」
「しかもあの湖は生物がいるのにはだ」
それにはというのだ。
「あまり適していないというしな」
「そうなの」
「実際にあまりいないらしい」
そんな話は僕も聞いたことがある、少なくともネッシーの様な大型の生物が生きるには不向きの場所らしい。
「流木や牛の死骸説もある」
「それって面白くないね」
「少なくともあの湖に恐竜がいるとはだ」
「あまり考えられないのね」
「一つの個体がその場所にいられるには二十匹必要だ」
生物学的な話にもなった、こうしたところは流石井上さんだ。この人は成績優秀なことでも知られているのだ。
「つがいで十匹ずつな」
「ネス湖にネッシーが二十匹ね」
「それなりに大きな湖だが」
「それでもあそこに恐竜が二十匹」
「目立つな」
「うん、相当にね」
ニキータさんは井上さんに即答で答えた。
「どう考えても」
「そこまでいたらいつも目撃される」
「そうよね」
「ましてやあの湖は今は常に監視システムが付けられているからな」
「ネットの?」
「そうだ、それがだ」
実際にというのだ。
「備えられていてだ」
「何時でも観られるのね」
「そうだ、実はグーグルでも観られる」
「ああ、グーグルね」
「それでも目撃されてはいるが」
「じゃあいるんじゃないの?」
「いや、その姿はあまり恐竜に見えないものだった」
井上さんはニキータさんにかなり真剣に話した、そのグーグルで見られたネッシーのことを。
「写真もあるが」
「そうなの」
「しかし流木でも牛の死骸でもない」
「じゃあ何なの?」
「それがわからない、だがネッシーはいないかというとだ」
否定説、それはというと。
「これで崩れると言っていいな」
「じゃあいるんじゃない」
「いると言っても何だ?」
「だからネッシーでしょ」
「違う、ネッシーはどうした生きものだ」
井上さんがここで問題にしているのはこのことだった、ネッシーは具体的にどういった生きものであるかということだ。
「恐竜ではないとすると」
「ええと、それは」
「アザラシや鯨や魚の説がこれまであった」
「じゃあそういうの?」
「恐竜よりその可能性がないか」
これが井上さんの仮説だった。
「河か何処からかネス湖に来ていると考えてもな」
「鯨ね」
「これは可能性があるのではないのか」
「ああ、鯨なら」
鯨と聞いてだ、ニキータさんが言うことは。
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