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夢幻水滸伝

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第六話 飛将その一

                 第六話  飛将
 中里は出雲の東を暴れ回り好き勝手をしているならず者達のことをだ、難波と共に部将達から聞いた。その彼等の実態はというと。
「政なんかせんでか」
「はい、もう奪うだけです」
「民から銭も米も何もかも奪うだけで」
「政なんかしてません」
「出せないと言ったら家まで行って奪います」
「おまけに自分達の贅沢に民を使いますし」
 即ち賦役に使っているというのだ。
「もう滅茶苦茶です」
「野盗みたいなこともしますし」
「旅人は襲うしです」
「ほんまやりたい放題です」
「西国のならず者をこれでもかと集めた感じです」
「心ある奴は皆去ってです」
「残ってるのは屑ばかりですわ」
 その二万の者達はというのだ。
「どうにもなりません」
「使ってる武器や具足も質が悪くて」
「陣形もありません」
「まともな訓練もしてません」
「ただ数だけです」
「ほんまならず者の集まりです」
「つまり烏合の衆やな」
 難波は中里の隣でだ、腕を組んだまま言った。
「数だけは多い」
「はい、ただ人を殺したりするのは平気です」
「騙したり何をするのもです」
「悪事をするのが常で」
「しかもあっちに地の利があります」
 部将達はこのことも話した。
「そやから油断出来ません」
「その連中を何とかせなあきませんけど」
「数も多いし何をしてくるかわかりませんし」
「地の利もありますし」
「頭使って戦わなあかんってことやな」
 ここまで聞いてだ、中里は述べた。
「つまりは」
「要するにそうです」
「連中倒さな社まで行けませんし」
「あそこにおる樋口さんと合流する為にです」
「戦って勝たなあきません」
「やっぱり降りませんでしたし」
「そやな、ほな頭使ってやったるか」
 中里は鋭い目になって述べた。
「それで一気に叩くわ」
「具体的な策あるんやな」
 難波は今度は中里に問うた。
「その言葉聞くと」
「ああ、連中の方が数が多いな」
 中里はまずはこのことを言った。
「そやな」
「数が多い、つまりやな」
「相手はそこから攻めようとする」
「そこを衝くか」
「あと地の利もや」
 それもとだ、中里は指摘した。
「向こうにある」
「確実にな」
「そしてこの二つを相手もわかってる」
「そこを利用するんか」
「そや、相手の利と知識を使うんや」
 中里は難波に笑みを浮かべて言った。 
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