夢幻水滸伝
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第四話 夢と現実その八
「千位置いてな」
「残る一万二千で、ですな」
「出雲まで行きますか」
「そうする、それで出雲までに色々な小さな勢力があるのは聞いたけど」
その彼等のことにもだ、中里は言及した。
「連中には先に使者送ってこちらに誘うで」
「一つ一つ征伐しませんか」
「こちらに引き込みますか」
「ああ、一々倒すより引き込んだ方が早く進めるし」
出雲まで、というのだ。
「それに戦せんで犠牲も少なくて済む」
「賊とかもいますけど」
「盗賊やら海賊が」
「そうした連中もそんなに悪いことせんかったらこれまでのことは赦してな」
そうしてというのだ。
「こっちに引き込んでいけばええわ」
「そうして兵として使う」
「そうしていきますか」
「その方がええわ、ただどうにもならん奴とかこっちに入らん奴は倒す」
彼等はというのだ。
「そうしていくで」
「あまり戦はしませんか」
「戦ばかりしても時間かかるし人も死ぬからな」
質問してきた部将の一人にだ、中里は顔を向けて言った。見ればどの部将も足軽達と同じく青い具足と服だ。陣羽織も青である。青で統一されている。
「その方がずっとええやろ、それに出雲の東に二万位の勢力の連中おるらしいな」
「はい、あちこちから集まったならず者ばかりで」
「出雲の社にも迫る感じです」
「人間だけやなくエルフやオークやリザードマンと一杯おりまして」
「中々強いです」
「日本でもそうした種族普通におって呼び名もあっちの場合があるねんな」
中里はここでこのことも認識した。
「そういう世界やっちゅうことやな」
「はい、まあ」
「ここはそうしたところです」
「星の方々が他所から来たのもわかってますし」
「そこは安心して下さい」
「そやねんな、まあとにかくそうした連中とも戦わなあかんさかい」
中里はあらためて話した。
「出来るだけそうしてこな」
「戦うよりも引き入れる」
「そうしていきますか」
「ほなそのうえで」
「出雲まで行きますか」
「ああ、あと民の人等」に手出しは厳禁や」
このことはだ、中里はこれまで強く言った。
「痴漢とか盗みは容赦せんで」
「その場合は、ですね」
「遠慮なく打ち首ですか」
「そうしますか」
「打ち首もな、殺したりしたら仕方ないやろ」
中里は死刑廃止論者ではない、悪人は死刑にしてもいいと思っている。だからこの問いにもこう答えたのだ。
「その場合はな」
「わかりました、ほなです」
「民達は大事にしてですね」
「そのうえで進んでいきますか」
「そうするで、ただここでは他の星の奴等もそうしてるやろ」
今の中里の様にだ、民に手出しはさせていないというのだ。
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