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夢幻水滸伝

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第四話 夢と現実その七

「それに他の技術もな、こっちの世界の戦国時代とかより」
「まあそっちの世界のことは詳しいないですけど」
「こっちはこうした世界ですわ」
「カレーもありますで」
「あとハヤシライスも」
「ああ、ハヤシライスもあるんか」
 ハヤシライスと聞いてだ、中里は思わず目を輝かせた。実はカレーライスも好きだがハヤシライスも同じだけ好きなのだ。
「それはええな」
「また作ることもありますんで」
「そっちも食べて下さい」
「皆で食べましょう、そっちも」
「それも何杯も」
「そやな、とにかく色々食えるとな」 
 二杯目の炊き込み御飯も食べつつだ、中里は言った。
「それだけでちゃうしな」
「ほんまそうですな」
「色々食べられるとそれだけで幸せになります」
「それは何処でもそうですね」
「実際に」
「その通りや、味噌汁も美味いわ」
 そちらにも茸が入っている、椎茸やしめじ、エリンギといったものが多く入っている。味噌は麦味噌である。
「こっちもな」
「漬けものも食べて下さいね」
「あと焼き魚も」
「そっちも」
「こっちは秋刀魚か」
 見ればその魚だった、頭も奇麗で傍にはすだちまである。
「結構やな」
「そっちも食べて下さいね」
「美味しいさかい」
「そやな、がっつり食べて」
 こうした言葉もだ、中里は出した。
「また働こか」
「はい、頼みますで」
「神星の力見せてもらいますで」
「そうさせてもらうわ」
 中里は応えそうして味噌汁も二杯目の炊き込み御飯も焼き魚も食べた、勿論漬けものもだ。秋刀魚にすだちをかけるのも忘れなかった。
 御飯は三杯食べ味噌汁は二杯だった、そして。
 全て食べてだ、それからだった。
 主だった部将達が集まったところでだ、中里は彼等に言った。
「美味い飯も食うたしや」
「はい、今からですな」
「出陣ですな」
「そや」
 こう言うのだった。
「もう用意は出来てるやろ」
「準備万端です」
「そこはもう出来てます」
「兵糧も武具もです」
「全部揃ってますし」
「兵も用意出来てます」
「今の飯で最後の用意でした」
 腹ごしらえのそれで、というのだ。
「ほなですね」
「今から」
「ああ、そうするで」
 中里の返事は明瞭だった。
「もう芥川から話は聞いてるみたいやし」
「はい、早速ですな」
「出雲まで進むんですな」
「そうしますか」
「そうするで、ここには僅かな守りの兵だけ置いて進む」
 出雲まで、とだ。中里は言い切った。 
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