レーヴァティン
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第四話 村で聞くことその三
「胸は小さくてな」
「胸はか」
「ああ、健康的な感じでな」
「成程な」
「そんな娘だったらよかったんだがな」
「それは俺もだ、男には興味はない」
一切という口調での言葉だった。
「何がいいかわからない」
「そこは同意だな」
「同性愛は否定しないがな」
「趣味かっていうとな」
「違う」
ここでも断言する、言いつつ腰に刀をさした。それは久志もだった。
「そこはな」
「だよな、ところで飯あるか?」
「昨日の残りか」
「ああ、あるか?」
「ない」
見れば実際にだった、二人共昨夜のパンもシチューもどちらもだった。全て食べてしまっていた。それも一欠片も一滴も残さず。
「全くな」
「結構以上に量あったよな」
「量はな、冷えていたがな」
「結構美味かったしな」
「しかしあんまりにも腹が減っていたからな」
これは英雄だけでなく久志もだ、むしろ久志の方がそうだった。
「食ったな」
「そうだよな」
「だから今はない」
「仕方ねえな、じゃあ朝飯はな」
「親父さんから買うか」
「そうしようか」
こう二人で話してだ、実際に二人で店のカウンターのところに行って親父に言うと親父はこう言ってきた。
「それなら簡単なのでいいかい?」
「ああ、何でもいいぜ」
久志は朝飯があると聞いてすぐに笑顔で応えた。
「そっちの金も払うな」
「昨日の分に入ってたんだよ」
「飯の分もか」
「それで金貨四枚なんだよ」
「随分サービスがいいな」
「ただし簡単なものだぜ」
親父はこのことは断った。
「パンとミルクだ」
「その二つか」
「それだけだ」
出すものはというのだ。
「それでいいなら出すぜ」
「よし、じゃあそれを頼むな」
「それじゃあな」
こうしてだ、二人はその朝食であるパンとミルクを貰ってそれを食べた。そしてその食事の後でだった。
二人は親父に礼を言って宿屋を後にした、英雄は店を出ると久志に顔を向けて言った。
「わかっているな」
「ああ、旅の道具を揃えるか」
「そしていざという時の食いものも買う」
「保存食だな」
「干し肉やら燻製やらをだ」
「買わないといけないな」
「あと出来れば茶や湯を沸かす道具もだ」
こうしたものもというのだ。
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