レーヴァティン
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第四話 村で聞くことその四
「買っておこう」
「お茶でビタミン摂るんだな」
「この村にあって買えるかどうかはわからないが」
「それでもだな」
「茶があれば買うべきだ、そして生水は絶対にだ」
「飲んだら駄目だからか」
「湯を作られるものは必要だ」
どうしてもという言葉だった。
「やはりな」
「ああ、生水は飲むなか」
「そうだ」
「やっぱりそうか」
「生水は毒だ」
文字通りとだ、英雄は久志に強い声で言った。
「絶対に飲まないことだ」
「だから水を飲む時はか」
「一旦熱してだ」
つまり沸騰させてというのだ。
「それから飲むことだ」
「やっぱりそうなるな」
「しかしだ」
「しかし?」
「湯というものは案外味気がない」
水よりもとだ、英雄は久志に淡々と話していく。
「だからその際は出来るだけだ」
「お茶の葉を入れてか」
「茶を飲むべきだ」
「それでビタミンも補給するんだな」
「そうだ、栄養摂取も忘れないことだ」
飲みものを口にする時もというのだ。
「茶の葉は熱でもビタミンが破壊されないからな」
「だからいいんだな」
「これを機に飲むべきだ」
「成程な」
「ではいいな」
「ああ、お水を沸騰させる道具にか」
久志も言った。
「あと、だな」
「出来れば茶の歯もだ」
「どっちもだな」
「買っておこう」
「何かと買うものが多いな」
「こうした世界で旅をするならそうなるだろう」
当然としてとだ、英雄は久志に素っ気なくさえある声で返した。
「驚くことでもない」
「そういうものだって受け入れることか」
「足りないなら近くの森だのに入ってだ」
「出会ったモンスターなりならず者なり倒してか」
「金を手に入れてだ」
「それで買うんだな」
「暫くこの村を拠点にして戦ってもいいだろう」
神殿に向かって急ぐよりもというのだ。
「まずは支度だ」
「それが万全でないとか」
「神殿まで行けるものではない、それにだ」
「ああ、神殿に着いてな」
「刀剣が抜けてもだ」
「それからもあるよな」
「それをどうするかだ」
英雄は先の先を読んでいた、この世界でのことを。
「俺達が海の魔神を倒すにしてもだ」
「そこまでどうするかだよな」
「それを考えるとだ」
「旅道具は必要か」
「全てな」
「何かこうした世界も大変だな」
「これでもおそらく実際の中世の欧州よりはましだ」
こう久志に言うのだった。
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