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夢幻水滸伝

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第三話 都へその七

「お刺身も唐揚げも鍋もな」
「何でもやな」
「鍋の最後の雑炊もや」
「ほな俸禄でよおさん食べてや」
「絶対にそうするで」
 中里は飛び上がらんばかりに喜んで言う、そしてここでだ。
 市井の者達は大路を進む三人を見てだ、笑顔で声をかけてきた。
「あっ、巫女さん戻ってきたわ」
「芥川さんもや」
「よお戻ってきたな」
 笑顔で彼等に手を振る、二人も笑って手を振り返す。中里はそんな二人と市井の者達を見て笑顔で言った。
「ええ感じやな」
「そやろ」
「ああ、自分等慕われてるんやな」
「国家元首として、政治家軍人としてな」
「それはええことやな」
「ああ、別に恐れられるとか望んでないし」
 そうしたことはというのだ。
「僕等自身もな」
「それよりも愛される方がええか」
「そういう考えやで、これは日本の他の勢力もやで」
 ここだけではないというのだ。
「それに他の国でもや」
「アメリカでも中国でも東南アジアでもか」
「そや、けどロシアとかインドはちゃう」
 こうした国々はというのだ。
「特にロシアはな」
「あそこはかいな」
「女帝が絶対の統治をしててな」
「恐れられてるんか」
「圧政やないけど君臨してる」
 自身の治める国にというのだ。
「それでどんどん領土を拡大してるんや」
「何かイワン雷帝みたいやな」
「そやな、ピョートル大帝か女帝エカテリーナか」
「そんなのか」
「まあそやな、実際氷の女帝って言われてるみたいやし」
 大路を三人で歩きつつだ、芥川は中里にその国のことも話した。
「粛清とか弾圧はしてへんみたいやけど」
「君臨しててか」
「恐れられてる、あと欧州では敬愛されてるみたいやな」
「そっちかは」
「随分立派な騎士さん達が毅然として政治にあたってるらしいしな」
「騎士道でかいな」
「それで向こうでは敬愛されてるらしい」
 統治している星の者達はというのだ。
「五騎星の連中はそれぞれな」
「フレンドリーに慕われてるんやなくてか」
「敬愛されてるんや」
「成程な」
「まあ正直尊敬されてもな」
 芥川は笑ってだ、中里にこんなことも言った。
「疲れるしな」
「それもそやな」
「僕そんな立派な人間やないし」
「うちもや。好かれたいけど」
 綾乃も言う、それも明るく。
「尊敬されたら重いわ」
「そやな、それはな」
「尊敬とかいらんわ」
「それで怖がられるのもいらん」
「そういうのも嫌やし」
「そやから好かれるのがか」
「今みたいなのがええわ、とにかくな」
 綾乃は中里にあらためて話した。
「この勢力はこんな感じや」
「慕われてるんやな」
「そや、これでも平和にここの人達第一の政治してるつもりやし」
「町も田畑も整えてか」
「教育や技術投資にも力入れてるし」
「産業の育成もやな」
「うち等の世界で言うと雇用対策もしてるで」
 人の働き口も確保しているというのだ。 
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