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夢幻水滸伝

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第三話 都へその六

「無理やで」
「完全に自然の世界や」
「そや」
「巨人もおって」
「ただこの世界にいつも急に出て来る巨人はおらん」
 この連中はというのだ。
「連中が何処の世界から来てるのかわし等も知らんねん」
「そうなんか」
「わし等の世界にも時々来て暴れるし迷惑してるねん」
「成程な」
「長話したな、ほなな」
「ああ、また何かあったらな」
「呼んでくれ、それで一緒に遊ぼな」
 鵺は中里にその猿の顔に気さくな笑みを浮かべて言った。
「精霊の世界に来たらそれはそれで遊ぼな」
「それじゃあな」 
 今度は精霊の世界の話をしてだ、そしてだった。
 神具達は何処かに飛んで行って姿を消した、そして三人は彼等を見送ってから都の正門を潜った。正門は赤く塗られた大きな和風の門だった。
 その門を潜ってだ、都に入ると。
 大路の左右に店達が並び人が行き交っていた、人はどの者も室町時代や戦国時代の日本の服である。
 その店や人を見てだ、中里は言った。
「一休さんか前田慶次になった気分や」
「時代離れてるで」
 一休さんと前田慶次ではとだ、芥川は中里に突っ込みを入れた。
「結構以上に」
「そういえばそやな」
「二百年以上な」
 一休さんは室町時代の前期から中期、前田慶次は戦国時代から江戸時代初期にかけての人物である。
「離れてるで」
「そやからちゃうか」
「そや、まあ室町時代でもな」
「お店多いし人は多いし」
「こうしたお店が出るのは江戸時代以降や」
 しっかりとした構えの店はというのだ。
「呉服屋や両替商もあるしな」
「商業は江戸時代のレベルか」
「そやで、料理もな」
「ステーキもあるしか」
「他の洋食もあるしな」
「ああ、あの店か」
 中里は大路のうちの一店を見た、見れば看板に洋食処と書いてある。
「あそこでステーキ食えるか」
「スパゲティもハンバーグもあるで」
「スパゲティか」
「自分好きやろ」
「結構な」
 中里の好物の一つだ、実は麺類は何でも好きでうどんやそば、ラーメンといったものは何でも好きである。
「ほな暇あったら入ろか」
「そうしたらええわ、お金必要やけどな」
「ああ、お金もあるな」
「自分はこの勢力の棟梁の一人になるから俸禄貰えるで」
「うちは俸禄高いで」
 綾乃は二人の間にいた、そこでにこにことして言うのだった。
「そやからどんな店でも入り放題やで」
「洋食でもかいな」
「河豚でも蟹でも食べ放題や」
「えっ、河豚もかいな」
 河豚と聞いてだ、中里は目の色を変えた。実は河豚は麺類以上に好きで大好物と言っていいのだ。
「それはええな」
「あっ、自分河豚好きかいな」
「河豚やったら何でも好きや」
 それこそというのだ。 
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