八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五話 夜になってその十三
「だからいいんです」
「そうなのね」
「じゃあ次は」
「ええ、街に戻りましょう」
「ああ、戻るノ」
「そうするあるか」
僕の話を聞いてだ、ジューンさんと水蓮さんも応えてきた。見ればもう結構お酒が抜けていて普通に一人で歩いている。
「まずはこの宮殿を観テ」
「そして今度は、あるか」
「うん、プールもね」
僕はそこのイルミネーションの話もした。
「そこも凄いんだ」
「どんな感じでござるか」
「アートガーデンの方なんかね」
僕はそこの話をだ、マルヤムさんにした。
「何かこの世にないみたいな」
「この世に、でござるか」
「不思議な光景だよ、それを観て」
親父に連れられてだ、親父はワインの香りを漂わせていたのを覚えている。
「本当にこの世にいなかった」
「そんな感じだったござるか」
「他の世界にいるみたいな気持ちになったよ」
「何か凄そうでござるな」
「百聞は一見に然ずでね」
「では、でござるな」
「まずは観てね」
ここでは僕は説明しなかった、今すぐに行くし話をするよりも見る方が遥かにいいと考えからだ。それでこう言ったのだ。
「そうしよう」
「では」
「行きましょう」
チェチーリアさんは皆を引っ張る感じで言った。
「これからね」
「よし、出発しよウ」
「次はそこあるよ」
ジューンさんと水蓮さんも上機嫌だった。
「アートガーデンネ」
「今から向かうある」
「歩いて行き来出来るから楽ね」
笑ってだ、日菜子さんはこう僕達に言った。
「ハウステンボスか」
「はい、僕達は」
「皆体力あるからね」
「はい、確かに」
「文化系のチェチーリアにしても」
「私はずっと空気の少ないところで歩き回っていたから」
高原地帯だ、やっぱり標高があると空気が少なくなってその分動くと大変だ。このことは標高がある場所だと常だ。
「こうした場所で歩くことも」
「平気なのね」
「ええ、何でもないわ」
「そうなのね」
「暑いのはちょっと、だけれど」
「ああ、標高が高いとね」
「寒いからね」
その分だ、こうしたこともあるとのことだ。
「それは苦手だけれど」
「歩くことは」
「そう、平気だから」
「それじゃあ今ここにいる宮殿からアートガーデンに行くにしても」
「心配しなくていいから」
「ええ、それじゃあね」
「行きましょう」
今度は日菜子さんが引っ張る言葉を出した、そして。
僕達はアートガーデンの方に向かった、そこで輝く街と道路、それに自らも輝きつつその中を進む船を観てだった。
皆言葉を失った、勿論運河も輝いている。
その輝きを観てだ、僕も言った。
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