八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五話 夜になってその七
「夜のお空の中に」
「それも面白くて」
「とにかく上に雲があることがでござるか」
「私としては面白いの」
「成程、人それぞれでござるな」
ここまで聞いてだ、マルヤムさんも納得して言った。
「拙者も雪についてはでござる」
「マルヤムはそちらが」
「不思議なものでござるよ」
「そういえばダエもラブポーンも」
「東南アジアやブラジルではでござる」
「雪がないから」
「だから見たいでござるよ」
冬にはというのだ。
「この目で、ござる」
「それは日菜子も言ってたわね」
「雪のことで、ござるな」
「見たことがないと」
「沖縄もそうでござるな」
「うん、沖縄はね」
僕はマルヤムさんに沖縄のことを話した。
「雪は降らないよ」
「日本でも、でござるな」
「日本は暑い場所と寒い場所の違いが凄いから」
北海道と沖縄ではだ。
「だからね」
「それで沖縄では、でござるな」
「雪は降らないんだ、むしろ降ったらね」
「そっちの方が凄いでござるな」
「そうなんだ」
もうそれは異常気象と言っていい、沖縄で雪が降る様になれば温暖化は何なのかという話にもなる。そしてだ。
ここでだ、僕はマルヤムさんにこうも話した。
「神戸では降るからね」
「だから冬まで待てばいいでござるな」
「山の方には絶対に降るから」
神戸の後ろにある六甲にはだ、前の海と並ぶ神戸の代名詞だ。
「待っていてね」
「そうさせてもらうでござる」
「ちょっと待つことになるけれど」
あと数ヶ月先だ、四ヶ月といったところか。
「我慢していてね」
「待つことは今と同じでござるな」
「うん、まあ今はもう少しだね」
「二時間位でござるか」
「一時間位かな」
「それ位でござるか」
「完全に夜になったら」
その時はだ。
「夜景になるから」
「では、でござるな」
「まあ夜になるのはもうすぐだよ」
一時間と言ったけれどだ、話をしている間に夜の闇は深まっていっている。濃紫の帳が空を完全に覆おうとしている。
「そしてね」
「一時間でござるな」
「それだけ経てば」
「夜景が観られるから」
「ではそれを三人でござるな」
「観ようね」
僕はマルヤムさんに話した。
「そうしようね」
「わかったでござる、今頃でござる」
僕の言葉を受けてだ、マルヤムさんはこうも言った。
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