夢幻水滸伝
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第二話 世界の仕組みその十二
「急に出て来るしな、いつも」
「よおわからん連中か」
「こっちの世界の連中やないかもな」
「僕等みたいにか」
「こっちの世界で一番厄介な連中や」
巨人達こそはというのだ。
「急に出て来て巨体と馬鹿力で暴れ回るからな」
「それ聞いたけれど急にやねんな」
「煙みたいに出て来る」
「それで暴れるんやな」
「所構わずな」
「何人か同時でな」
そうしてというのだ。
「出たりもするしな」
「ゲリラみたいなもんか」
「言うならそやな」
「わかった、ただ巨人がゲリラか」
「この世界ではそや」
「変な世界やな」
「そうした世界ちゅうこっちゃ」
芥川は巨人についての説明は多くはなかった、こんなものだった。
「こっちの世界はこっちの世界でな」
「巨人がゲリラみたいに出て来る」
「そうして暴れるって思ってくれ」
「それで巨人ってやっぱりあれやな」
巨人自体についてだ、中里は芥川に自身の想像から彼に話した。膳は二回目に入り今度は海老や栄螺、山芋や人参を調理したものが出て来た。酒もある。
中里はその酒、清酒を一口飲んでからさらに言った。
「大きさは色々みたいやけどでかい人間やろ」
「種類はあるで」
「ああ、それ言ってたな」
「全身青白くて霜がかかってるみたいでな」
「霜?」
「口から吹雪吐くのもおる」
「そういうの北欧神話でおったな」
この神話の霜の巨人族のことをだ、中里は思い出した。
「そういえば」
「その連中みたいなのとかあと逆に全身赤くてな」
「燃えてるんか」
「火を吹くのもおる」
「それも北欧神話で出たな」
「緑の身体で雷出すのもおるしな」
芥川はこうした巨人の話もした。
「あと全身気色悪い紫色で毒塗れのもおる」
「毒の巨人もか」
「おるで、あと巨人のゾンビも出る」
「うわ、ゾンビかいな」
「これも厄介やで」
「ゾンビ言うたら雑魚やけどな」
「実際この世界でも雑魚や」
そうした映画や漫画等ならともかくだ、剣や魔法が普通にある世界ならというのだ。
「モンスターでやたら出て来るわ」
「雑魚中の雑魚か」
「アンデット系の種族でもおるけどな」
「モンスターでもおるか」
「盗賊とかもやっとるわ」
「そやねんな」
「それの巨人や」
芥川はあらためて話した。
「その連中も強いで」
「巨人のゾンビか」
「そやねん」
「そういうのも出るんか」
「それで出て来たところで暴れ回るんや」
「モンスター以外にも出て来てか」
「その度に僕等はいつも出て行って倒してる」
その巨人達をというのだ。
「何やと鬱陶しいわ、ただこうした巨人よりも普通の連中の方がよお出る」
「僕がさっき言うたみたいなか」
「人間がでかくなっただけのな」
「そうした連中が一番多いか」
「出て来る巨人の九割以上がこの連中や」
よく言われている巨人達だというのだ。
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