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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五話 夜になってその五

「その時二日酔いになっていても」
「それですっきりするからでござるな」
「その方がいいよ」
「その通りでござる」
 マルヤムさんも頷いて答えた。
「今は止めておくべきでござるな」
「酔った状態でお風呂には入らずに」
 それよりもだった。
「すっきりしてからだよ」
「せめて酔いがかなり落ち着いてから」
 チェチーリアさんも言った。
「入るべきね」
「ですから翌朝にでも」
「入るわ、ホテルのお風呂に」
「そうされて下さい」
「それじゃあ今は」
「そうですね、夜景まで時間がありますし」
 そうなのだ、思った以上に早く飲み食いをしていて時間が余っているのだ。僕もここまで早く進むとは予想していなかった。
「何処か行きますか」
「また飲むでござるか?」
「いや、確かにまだ飲めそうだけれど」
 それでもだった。
「これ以上はね」
「健康に悪いでござるか」
「そう思うからね」
 だからだとだ、僕はマルヤムさんに話した。
「明日も飲むし、それも朝から」
「朝からでござるか」
「ホテルの朝食はビュッフェでね」
 所謂バイキングだ、ハムやサラダや卵料理にパン、そしてフルーツが置かれている。そうした食べものと共になのだ。
「シャンンパンもあるんだ」
「朝からお酒」
「凄いでござるな」
「欧州の方式だからね」
 忠実に再現しているからだ。
「だからね」
「シャンパンもあるの」
「それまで用意してくれているでござるか」
「それも飲むから」
 そうなるからだ。
「だから今日はね」
「これで止めた方がいいの」
「そうでござるか」
「日菜子さんは違うと思うけれど」
 あの人はそれこそ幾らでも飲む、八条荘きっての酒豪で飲もうと思えばワインも五本位は平気な人だ。ウイスキーのボトル二本をあっという間に飲み干すことも普通だ。
「僕達はね」
「これ位で止めるべきでござるな」
「そうなのね」
「そうしよう、まあ三人でね」
 僕達三人でだ。
「夜景が出るまで一緒に街を歩こうか」
「ハウステンボスの街を」
「そうしよう」
 こう話した、そしてだった。
 僕達三人で夜のハウステンボスを歩いて回ることにした、空には星が出はじめていて白や赤や青の光を見せていた。 
 空は青から赤、そして濃紫になろうとしていた。西洋の建物の上に見えるその夜空を見上げてだ。チェチーリアさんは僕達にこんなことを言った。
「この夜になる瞬間が」
「好きでござるか」
「そうなの、私がペルーにいた時は」
 チェチーリアさんの祖国、その国ではというと。
「雲がなくて」
「雲より高い場所に住んでいたからでござるか」
「雲と同じ高さにあったの」
 住んでいたその場所がというのだ。 
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