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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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5部分:峡谷の戦いその一


峡谷の戦いその一

                    峡谷の戦い
 セリス達がイザーク先遣隊に対し見事な勝利を飾った時ティルナノグに到着した一団があった。一団は千騎程の騎兵であり皆剣や槍、弓等で武装している。勝利の歓声をあげるセリス達を見て先頭の男が困惑した顔で呟いた。
 「しまった、遅かったか」
 かってシグルドの下で若き軍師として名を馳せ、今はセリスの第一の臣として主君の全幅の信頼を受ける男、オイフェである。ランゴバルト公との決戦であったリューベック会戦の直後シグルドによりシャナンと共に幼いセリスや子供達と共にイザークへ逃がされた。その地においてセリスを育て守り続けた。騎士としても優秀であり剣の腕はシャナンに勝るとも劣らない程である。人格は謹厳実直にして悪を許さず若い解放軍の手綱を締める役割を果たしている。オリーブ色の髪と黒い瞳を持った端正な顔立ち、黒い丈の長い軍服とそれと同じ色のマント、白いズボンと黒ブーツ、騎士と呼ぶに相応しい出で立ちである。特に口髭が印象的である。その口髭を不安そうな表情で湿らせているのを見て馬を並べている騎士がそれを打ち消すべく言った。
「けれどいずれこうなるという事は御承知だったんでしょう?それが早くなっただけですよ。気にかける事はありませんよ」
 金髪碧眼の精悍な顔立ちの騎士である。黒い鎧に銀の大剣を身に着けている。名をデルムッドという。馬上で大剣を振るい解放軍の騎兵隊でも名の知られた若い騎士である。
「そうですよ、それにセリス様達は勝たれておられますしまずは良しとすべきです」
 茶の髪に黒い瞳の颯爽とした青い鎧の若武者がデルムッドに同調した。デルムッドの好敵手と称されるトリスタンという騎士である。
「まあ打って出るって言い出したのはラクチェだろうな」
 茶色の髪に鳶色の瞳をしたまだ子供っぽさの残る顔立ちの緑の鎧を着けた騎士が笑いながらトリスタンに続いた。ディムナという。解放軍の僧侶マナの兄であり弓の使い手として知られている。
「それでスカサハが気押されてラドネイとロドルバンがラクチェにつく。いつものパターンね」
 黒髪に黒い瞳をした闊達そうな少女が真相を見抜く。それは的中していた。ピンクのバンダナに同じ色の上着、白ズボンといった格好が良く似合っている。解放軍のトルバドールジャンヌである。トリスタンの妹でもある。
「ま、始まった事は仕方が無い。後はどうやってこれから戦うか。そうでしょう、オイフェさん」
 丈の長い青の服に黒ズボンを着た青い髪と瞳を持つ凛々しい顔立ちの騎士レスターが言った。手には長弓がある。彼の言葉は五人の総意でもあった。
「ううむ・・・・・・」
 少し苦い顔をしてオイフェは頷いた。
「じゃあ早く行きましょう。セリス様達と合流してイザーク軍と戦う為に」
「あ、待て」
 オイフェの言葉も耳に届かず五人はセリス達の方へ馬を走らせた。
「全く気楽なものだ。これからの苦労も知らずに」
 と溜息をつくオイフェであった。そして後ろに控える騎士の方へ振り向いて言った。
「済まないな、大変な戦いに巻き込んでしまう」
 と申し訳無さそうに言った。しかしその騎士は明るい笑い声をあげて言った。
「何言ってんですか。俺は解放軍に志願して入ったんですよ」
 明るい笑顔が良く似合う若者である。金の髪に茶の瞳、皮鎧の下に緑の服とライトブラウンの服を着ている。
「帝国、特にここのダナン王やレンスターのヒルダとその下にいる連中の酷さは口では言い表せません。俺は大陸中を回ってそれをよく見ましたよ」
それまで明るかった騎士の表情が暗いものになってきた。
「フェルグス・・・・・・」
 オイフェは若者の名を呼んだ。フェルグスは言葉を続けた。
「そんな連中滅んでしまえばいい。罪の無い人達が虫みたいに殺されていくのはもう見たくないんですよ。だから俺は解放軍に入ったんです。解放軍ならあの連中をぶっ潰せる。オイフェさん達を見てそう感じたんです」
「そうか・・・・・・」
 オイフェはレスター達の行った方を見た。仲間の歓声をもって迎えられている。
 
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