ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
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253部分:光竜降臨その一
光竜降臨その一
光竜降臨
ーバーハラ城ー
「そうか、遂にユリアを始末したか」
「はい。これで我等の世を阻む者はいなくなりました。世界はユリウス様により暗黒に美しく染められるでしょう」
二人は例の地下の地で濡れた部屋にいた。マンフロイは無気味な笑いを浮かべている。
「それは楽しみだ。だが少し早合点があるな。そなたらしくない」
「それは!?」
マンフロイはその言葉に声をあげた。ユリウスはそれに対し子供っぽい悪戯な笑みで応えた。
「そう簡単にいっても面白くなかろう」
ーバーハラ解放軍本陣ー
本陣の天幕の中解放軍の諸将達は力無くうなだれていた。
諸将達は輪になり中央を見つめている。そこにはユリアが横たえられていた。
死に顔もあどけなくまるで眠っているようだ。だが暗黒魔法を受けドス黒く変色した胸と溶け爛れた衣がその死を告げていた。
「まさかこんな形で再会するなんて・・・・・・」
ラナが力無く言う。
「けど十二神器の一つ聖杖バルキリーが我々の手にあったのが唯一の希望です。言い伝え通り死者を甦らせる力があれば・・・・・・」
スルーフが顔を強張らせて言う。
「大丈夫だ」
レヴィンが言った。
「ユリアは必ず甦る」
言葉を続けた。
「バルキリーはワルキューレの力で死者をもう一度この世に戻らせる杖。だがその強大な魔力により扱うことが出来るのは聖痕を持つ者のみ。それがコープル、御前なのだ」
「はい」
コープルが前に出て来た。
「今の御前ならばその杖を扱える。そして必ずやユリアの魂をこの世に戻すことが出来る。さあ、頼むぞ」
「はい」
「コープル、しっかりね」
リーンが言った。
「きっと出来るよ」
シャルローが声をかけた。
そしてクロードとハンニバルが息子の側に来た。
「安心しなさい、ブラギ神が貴方を御護り下さいます」
「自分の力を信じよ。御前ならば必ず成し遂げられる」
皆彼を心から励ます。コープルはそれに対し頷きゆっくりと前に進んだ。
ユリアの側に来る。そして杖をゆっくりと掲げて詠唱をはじめた。
長い詠唱である。五分、十分と続く。次第に杖に白い光が宿っていく。皆息を飲み沈黙した。
詠唱が終わった。杖の光が天に昇った。そして白い光が天からユリアの身体を照らし出した。
光の中を一人、また一人とワルキューレ達が舞い降りて来る。両肩に三対の翼を生やした九人の乙女達はユリアの上で静かに舞を続けた。
乙女達は舞を終えると円を組み右手を上げた。乙女達の手から黄金色の光が生じそれが一つの光球になった。
乙女達が右手を下ろすと光の球はユリアの方へ落ちて行った。
光球はそのままユリアの中へ入って行く。九人の乙女達はそれを見届けると静かに光の中天空に帰っていった。
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