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Fate プリズマクロエ お兄ちゃん強奪計画

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銭湯で笑いを取るロード・ルメロイ

 アンジェリカがエーデルフェルトで簡単に工房を作って間桐の人形を作ろうとすると、全員一回は死んでいたのか、人形に魂や記憶を取りこめた。
 臓硯も再生する前だったのか、予備の予備までは準備しなかったのか、体だけ再生しても魂も記憶も押さえた後の抜け殻なので脅威にはならない。
「桜、飯はまだかの?」
「さっき食べたでしょ、お爺ちゃん」
 上手い具合に記憶障害と人格障害を発症してくれてボケたので、今の所使いやすい臓硯。
 雁夜や義父の作成は桜人形が嫌がったので、急遽慎二が作られ、今回のガス爆発?か何かで、祖父と同じで精神に異常をきたした設定で、オーギュスト紹介の弁護士に相談すると通った。
「さて、これで銀行にも乗り込めるわ」
「ええ、姉さん」
 遠坂姉妹の姉妹愛、な~んて物は最初から存在せず、性格が違う同性の姉妹とか、元から仲が最悪の取り合わせである。
 幼い凜が(虐め対象の)妹を失った、と感じただけで、間桐に行っても兄とかに虐められ、虫を入れられ、叔父にクンカクンカされる日々だったので、苦痛だけは変わらず「センパイ」に会うまでは生まれたのが間違いだったと悟っていた桜。
 現時点では桜人形の世界の臓硯は聖杯戦争で慎二人形が敗れても生存していて、生前の桜に家も虫も燃やされて一族郎党を失って姿を消しているので、どうやって探して始末するか考えていたが、家の外で待っている連中に「探してくれたら先輩と一緒に留学します」と言えば、草の根分けても探してくれそうだったので大して心配はしていなかった。
「さあ、勝負に出掛けましょうか?」
 普通の手配は桜人形では不安なので弁護士に任せ、人形師のアンジェリカが護衛、キャスターのカードを持つ桜人形には護衛不要なので慎二も連れて移動。
 凜は午前中に手続きを済ませた母を迎えにタクシーで移動して、退院してから銀行で合流した。
 
「さて、ここからが勝負よ」
 もうこちらの世界からオサラバする予定の凜は、競合する敵の家を殲滅して財産を盗んでも、魔術師間では良くある事なのか、余り犯罪者意識を持っていなかった。
 まあ、意見の相違と言うか、妹が金持ちになったら凜も金持ち、と言う甘い考えは通じず、血は繋がっていても間桐の相続権が存在しない実の姉にはビタ一文くれてやるつもりが無い桜と桜人形だった。
 
 銀行の応接室には入ったものの、銀行からも弁護士からも相続者の「お友達、親戚」は排除され、凜と凜の母、アンジェリカは余計な口出しをしないよう別室に通され、討論するのを拒否されてしまい、間桐一族だけが入室して対話した。
「エ?」
 妹から母にでも入金させ、多額の入院費や留学費用を捻出する予定だった凜は、待合室で放置され、安っっすいインスタントコーヒー一杯で黙らされた。
「なんでこうなるの?」
 財産権を理解していない凜は、金に目がくらんで自分もお零れを頂戴するつもりだったが、相続者の桜からは、実行犯の桜人形とアンジェリカには手数料と口止め料を払い、学校にいたのでアリバイもバッチリ、自分のコピーロボット「さくらちゃん」には金を使わせ、母の入院費ぐらい出したが高額医療費で還付される分は渡さず、敵である姉には一円も渡さなかった。
「うぎゃああ~~~!」
 凜は伝説の>>92とか>>922みたいに、意味不明の女理論を展開したが、そんな寝言は弁護士に通用しなかった。
 もちろん犯行を通報しようとすると、桜人形とアンジェリカにサクっと殺される。
 第一回の話し合いが終了し、必要書類は弁護士が用意して、臓硯と慎二の精神障害と禁治産者の認定も後日行われ、財産の大半は桜が相続した。
 
 ロード・エルメロイ一行は、神鋼の北側にある、廃熱利用か何かのスーパー銭湯に入場し、ギル様もそれに続いた。
 オーギュストが利用システムを理解する前に、ウェイバー君が全員分を支払い、ルヴィア、バゼットは女湯。ギル様も入ることになった。
「まあ、こういうのは裸の付き合いからやね、オッサン外人やけどタトゥーとか登り龍の入れ墨入れてへんやろなあ? 暴力団関係者様は風呂入場お断りやで?」
「前はいれとったんやけどな、現世に受肉してからは綺麗なもんや、見てみい、この綺麗なお肌とカダラを」
 ナルシストなのか肌フェチなのか、美白や筋肉には五月蠅いギル様。
「んん? 真っ白けやがな、このクソ熱い夏でも白いとか、相方によっぽどかわいがられとるんかぁ?」
「何でやねん、この年でも街中歩いたらな、女がキャーキャー言うて寄って来よるわ」
「BBAばっかりやろ? オッサンはマツケンとか氷川きよしみたいなオネエ好きのBBAに好かれそうやなあ。ところでオッサン銭湯の入り方知っとんかい?」
「当たり前やろ「風呂行ってくる」言うたら、昼から近所の広い銭湯行って、知り合いのオッサンと話して「篠原温泉営業やめてもたなあ」とか言いながら2時間は入らんと気が済まんわ」
 暑い夏は昼間から銭湯で過ごして汗を流して、湯上りに冷たいビールでもキューーッと飲むのが日本の夏の過ごし方だと知っているベテランの日本人。貴重品の免許証入り財布を余裕でカウンターに預けて入浴した。
 レクサスとかクラウンぐらいの高級車で乗り付けて、駐車場付きの銭湯に入り、入浴料よりも明らかにガソリン代や車の維持費が高いのが日本の定年退職者の昼の過ごし方である。
 
 女湯ではルヴィアが入浴に困っている間にも、バゼットは手早く脱いでロッカーに服を入れ、貸しタオル一枚持って入浴しようとした。
「待って、入り方が分かりませんわ?」
「ああ、全部脱いでロッカーに入れる。カギを外して腕にでも着ける。中にシャンプーやボディソープもあるから自由に使え。仮眠室もあるはずだから、任務で来た時には一泊1200円から2000円以内で風呂と仮眠もできるから安い宿と思えば良い、飲み物と食べ物は持ち込みもできる」
 安い宿泊施設で衛生度も高いので、日本のスーパー銭湯はよく利用してしまうバゼット。BBAとの雑魚寝も気にしない。
「まさか、こんな大勢の人と一緒に裸で?」
 イリクロや美遊と家で入った事はあっても、見ず知らずの他人と裸で同じ湯に入るなど、あり得ないルヴィア。ローマのテルマエの文化は伝染病とともに消えてしまった。
「脱げ」
「ひいっ」
 適当にひん剥かれて、バスタオル巻いて乳浴?させられたルヴィア。

 入室時は当然空手チョップと言うか、相撲取りのように三方を切りながら混雑した出入り口を通過するベテラン二人。
 男湯ではロード・エルメロイがギルガメッシュの背中を流す奇妙な光景が展開されていた。
 オーギュストもエーデルフェルト邸の狭い使用人風呂でウェイバー君を見定めながら背中を流す前に、ギルガメッシュに背中を洗われてしまった。
「前はカナダ人のオッサンとか大将(アレクサンダー)と一緒に来たんやけどな、何か毛むくじゃらのオッサン二人に挟まれて背中流されて、後ろでオッサンらハァハァ言うとったから、ケツの穴がこそばい感じでなあ、後ろからも背中になんか押し当てられるし、こらもうオケツの処女?卒業や思て諦め取ったんやけどなあ、当時16,7のボクちゃん見てそこまではせんかったみたいや」
 戦国武将でも、アレキサンダーの部隊にも小姓が付いていて、夜のお勤めは男の娘がする。売春婦も帯同してアイオニオンヘタイロイのお相手もするが、敵側のアケイメネス朝か何かは、黄金の浴槽とか愛人まで帯同していて捕虜になったと記録されている。
 もちろんウェイバー君が王の軍勢に参加後は、男の娘になって戦車男さんに掘られる。
「もうギル様も女飽きて男の方がええんちゃうか? どこの風呂も時間帯によってハッテン場になるからなあ、あ? オッサン左手に鍵つけ取るから受け専かいな?」
「誰が受け専や、お前こそ足に巻くとか誰専かい?(相手は誰とでもよい)」
「あ~、そうやなあ、目隠しされて誰にやられとんか分からんのが、って違うわっ、ホモに狙われんように足に付けて下さいって書いてあったやろ」
「いやあ、エゲレスはホモも充実しとるから、毎月月末土曜は14時発射開始のオールナイトやろうが?」
「そうやなあ、全員六尺ふんどしつけて「オッス」「オオッス」言うてなあ、誰かロープでぶら下げられてケツにキューピーさん人形刺して、空中ブランコしながら「産まれる~~」言うて場内爆笑、オス汁発射し放題ってそれ日本やんけ」
 日本のハッテン場事情にもなぜか詳しい二人、オーギュストもニガー笑いしかできなかったが、つい下品な会話にも吹き出して失笑してしまう。
「ほんならオッサンオロリコンはどないや? ほれ爺ちゃんに連れられてチンチン付いてないちっさい子とかおるで?」
「いや、ソレアカンやろ、13歳以下は犯罪やで君」
 10歳以下の女の子がギャーギャー喚きながら遊んでいるが、ごくまれに露出狂のコスプレイヤー予備軍の子が、12歳ぐらいになっても男湯に入りたがり、湯船に腰かけて自分を見てくれる男に足を開いてサービスしてくれる。
「お、あの子露出狂やん、ギル様に見て貰おう思うて、頑張って足開いとるがな、キンパツのオッサン見てハッスルしとるんちゃうか」
「見てみい、やっぱりワシはモテモテやねん」
「あ、ちゃうわ、枯れ専でオーギュストさん狙いや、お爺ちゃん子やねんな」
「「なんでやねん」」
 次第にオーギュストまで、関西ノリにアンリマユされて行った。
 
 女湯ではカラスの行水のようなバゼットが、一瞬で体を洗い終わって温水に入って温まり、5分と経たずに出ようとした。
「私は外に出て寝る、一時間も入っていられない」
「ちょっと待ってください」
 金髪のガイジン美少女が入浴しているので、常連のBBAとかに関西弁で話し掛けられたり、珍獣扱いなのか背中を流そうとしたり体を触って来るので、慌てて逃げるルヴィア。
「何だ、もっと入っていれば良いのに」
「無理ですわ、何ですの? あの初対面の人物にも親密な感じは? 「ネーチャンキンパツにしとるんか~? うわ目も青いがな、ホンモノのガイジンさんや~~、おっぱいも白人さんで大きいがな、ちょっとさわってもええか?」と言うのは?」
「この辺りの人間はウェットなのだ、このウェッティでクソ暑い夏とおなじでな」
 着替えている間にも話し掛けられ「うわ~ふたりともガイジンさんやがな~~、ガイジンさんも銭湯くるんかいな~」と言われて周囲を囲まれジュースを奢ってもらい、大阪のオバチャンなのでハッカ味ののど飴と普通の飴と「おばあちゃんのぽたぽた焼き」「雪の宿」「おにぎりせんべい」まで数枚もらった。ルヴィアもタコヤキを勧められたが断った。テルマエロマエと同じで、バゼットならこの中だけで生活できる。
「もう帰るんか? オバチャンとこで晩御飯食べて行き」
「またな~~」
 約束の時間なので待合室に出ようとするだけど引き留められたが、ジュースも飲んでせんべいも完食、バゼットはタコヤキも食って体重が増えてから出た。関西のオバチャンなので飲食禁止とか気にしないで食べる、店に説教して張り紙破いてでも食べる。
 
 待合室に出ると、ロード・エルメロイが人垣を作って客の爆笑と注目を誘っていた。
「神戸大橋の橋の上、大の男のアレキサンダー大王が、牛若ならぬギルガメッシュ大王に切りかかるっちゅうわけや。このおっさんエヌマエリシュとか言うきったない技隠し持っててな、王の軍勢のごっつい人数でも、地面割るわ空も割るわ、そらえげつない攻撃しやがってな、ヘタイロイの皆さん全部地割れの谷底に落とされて死んでしもてん。ワシらアレクサンダーのオッサンの馬ボケパノスやったかブケパのスか忘れたけど、名前ボケやのに賢い馬が空飛んで逃げてな、固有結界破られてオッサンと馬だけになってん、そいで大さまがワシに「聞くの忘れとった、ワシの部下にならへんか」って聞いてな、もう今生の別れやで~、ワイも泣きながら「なります~~」言うたんや、それで生きて大将の活躍話して伝えるように言われて馬から降ろされてん」
 ウェイバー君の泣き真似に、観客も何故か涙を誘われた。遺言通り多くの人に話して聞かせているらしい。
「吉本やのに松竹みたいや~」
 関西風のお笑い話だったのが、泣き落としの話になって涙を誘った。
「それでまたこのえげつないオッサン、空から宝具ガンガン投げて来てな、馬もやられるわ、アレクサンダーの大将もようけ刺されてそれでも走って、やっとこさこのオッサンの前に立って刀振り下ろしたんやけどな(ギル様に空手チョップ入れまくり)、神様でも捕まえられるっちゅう鎖で大将縛り付けて、エヌマエリシュされてしもてん」
 何故か観客号泣、話の枕か先程の話がよほど上手かったのか、全員ロード・エルメロイの話芸に夢中になって、ギルガメッシュのオッサンは、運転者なのにビール片手に聞いていた。
「このオッサン、ワシも殺すつもりで来たんやけどな、令綬あれへんの見たし、大将の遺言でこないして大勢に話すように言い残したの聞いたらな「忠臣大儀である」とか言うて消えてしもてん、ワシ一人徒歩でな、神戸大橋のド真ん中で置き去りやん、もうマジ泣きやで」
 銭湯の客たちも泣き笑い、本当の松竹の泣き笑いにされてしまった。
「しゃーないから徒歩で何キロか歩いてな、三宮まで出て、泣きながら走ってん、「メーテルー」や無しに「ライダ~~」言いながら走ったから青春の熱い涙ってやつやね、それでカナダ人のおっちゃんおばちゃんのとこで慰めてもろて、エゲレスの田舎帰ったわけや。これにて第四次聖杯戦争、全巻の終わりやで~」
 泣き笑いの拍手を貰って、なぜか魔術も聖杯戦争も知らないジジイBBAにも話が通ってしまい、老人ホームの慰問に出るとウケそうな二人。漫才で笑わせて、お話しで泣かせ、歌で唸らせる海原真理(上沼恵美子)か、たかじんさんみたいな芸を持っていた。
「多芸な方たちですな、お嬢様」
 なぜかオーギュストまで眼鏡を外して涙を拭っていた。
「それでは皆様」
「「「ごきぃげんよ~~」」」
 舞台の下に下がっていくトリオ漫才、いつの間にかオーギュストも加わり、長作兄さんみたいに歌って拍手を貰ったりしたらしい。
  
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