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Fate プリズマクロエ お兄ちゃん強奪計画

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ロードエルメロイも急用

 スーパー銭湯を出たエルメロイ一行は、カナダ人夫妻の所に行く前に隣の24hスーパー、カードも使えない激安ド底辺ご用達のラムーに寄り、お土産を買うために立ち寄った。
「うわ、安っ、タコヤキ一舟100円やんっ、6個入りでも一個デカイしやっぱり安いがな」
 表の販売所でタコヤキも買い、中でも安いのに驚かされる。
「冷凍食品毎日五割引やんっ、チャーハン260円とか、潰れかけのダイエーやったら400円以上するで。弁当も198円とかなに考えとんねん」
 何故かギルガメッシュも付いて来て自分用のカートを取りに行って、色々と商品を購入する。弁当も試食用に買い、ジジイなので栄養ドリンク29円とか38円のも箱買いして、カップ麺も食べ慣れたスーパーカップが95円なのを見て震災用に箱買いして行く。麻生閣下みたいに「カップ麺400円ぐらい?」とかも言わず、やたら所帯じみたオッサンになっていた。
「オッサンなに気合入れて本気買いしとんねん、オバハンか?」
「安いんやからしょうがないやろ、ダイエーみたいに一回倒産して「何でもあるけど欲しいものは何もない」とちゃうで君、冷凍食品半額とか、関西スーパーの月一回四割引きセールより安いがな」
 王の金貨とか、神話時代の骨董価値まである物を換金して生活しているギル様も、関西の水と空気と粉モンにアンリマユされて、高級品ではなく安くて良いものを買うようになってしまっていた。
 エルメロイ卿も、もう足も悪いカナダ人夫妻のためには、高価な英国製土産より、生活用品を買い込んで車で輸送するのを選んで、保存の効く震災用の保存食や缶詰だけでなく生鮮食品まで買い込んで土産にした。
「バゼットもルヴィアちゃんも、いるもんあったら一緒に放り込んでや」
「宜しいのですかっ?」
「おお、公費やから遠慮したらアカンで」
 業務上横領ではあるが「土産物」で領収書が出れば、カナダ人夫妻への挨拶品なので通る。バゼットも水とか保存携帯が効く非常食を入れ、100円アイスや駄菓子など買ったことが無いルヴィアも、誘惑に負けて65円アイスとか39円のチョコアイスまで手を出してしまった。
 安物のラクトアイスなど食べさせてくれないオーギュストに見付かると「お嬢様、これはアイスクリームではありません」と取り上げられてしまうが、湯上りの安物アイス立ち食いはルヴィアの夢だった。
「オバチャン、領収書ギブミーやで~」
 手慣れた様子で支払いも済ませて、仕分け台で袋詰めしていくスーパー利用熟練者。
 買い物を済ませると、車に爆発物とかブレーキに細工をされないように立ち番していたオーギュストに合流した。
「はい、貴方も食べなさい」
「お、お嬢様……」
 特価39円のチョコアイスをお嬢様から頂戴して感激するオーギュスト。
 ルヴィアはただ共犯にしてしまえば、自分のアイスが取り上げられないと知っていたので渡したが、オーギュストは宝物のように拝領して記念品として取っておこうと懐に入れたが「何でやねん、溶けるがな」と突っ込まれて全員で食べた。
 
 この後、ビールが入っているギル様に運転させるのが嫌な上、年寄なのでアルコールに弱くなっているのに気付かないジジイが「ビール一本で酔うわけないやろ」と言いつつ呂律も回らず、駐車場で事故りそうになったので、オーギュストが夕食の支度をするのと一緒にルヴィアを帰らせ、カナダ人夫妻さえ良ければ招待すると言われたので、バゼット運転、後部座席にギル様、ロード・エルメロイと言う変則配置になった。
「ああ、お母ちゃんかぁ? ウエイバーくんやでぇ、急用でこっち来てなあ、これからそっち寄らしてもらうわ。それでなあ、エーデルフェルトのお嬢さんとこにおるんやけど、良かったらご招待したい言うとるんや、うん。え?早よ言うてくれたらご馳走? いやいや、急用やってん、毎年の会議とちゃうから、お土産置いたら出かける準備しといてな」
 ギルガメッシュの携帯を借りたエルメロイ卿が、日本での「お母ちゃん」に電話して、急用で来たのを伝える。
 聖杯戦争の会議は現地冬木市で開かれるので、毎年来て宿泊して関西弁の精度を上げていたが、今回は急用で、異世界から来たのは言っても理解してもらえないので割愛した。ちょっと話が合わなくても、相手もボケているので気にしない。
 ちなみに関西では年上の女性は「お母ちゃん」と呼んでおけば大体間違いない。
 
「後ろの車、私達を着けています、目的地が同じなど有り得ません」
 バゼットが後ろの車に気付き、山の手の高級住宅地に向かうのに、同じ方向に向かう車が着いて来ていた。これもzeroなら大ピンチだったが、ミラー越しでなく、後ろを向いたエルメロイはすぐに気付いた。
「運転しとるんバセットちゃんやがな、後ろにおるん長髪やさかい、たぶんこっちの世界のワシやがな」
 こちらの車にギル様がいる以外、同じ構成の後ろの車。なぜか「急用」でこっちの世界のロードエルメロイも来てしまい、運転手兼護衛としてバゼットを衛宮家から呼び出してカナダ人夫妻の所に挨拶に行く所らしい。
「あかんがな、ウェイバー君二人やがな、お母ちゃんにどない言うねん。一番下の息子や言うてるのに、今更双子とか言われへんやん」
 こちらのウェイバー君も電話したので、「さっき電話くれたがな」みたいになって「お母ちゃん、もうボケてしもて」になって混乱している所である。
 後ろのバゼットから事情を話したようで、後部座席のウェイバー君がチョット箱乗りして手を振って来る。警察にでも見つかって停止させられたら異世界免許証で問題になるので、止められそうな場所で停車した。
「おう、兄弟、異世界のワシと触ったら消えて無くなったりせえへんのか?」
「それは大丈夫みたいや、バゼットちゃん同士でどつき合いしても大丈夫やってん」
 異世界で事件が起こってイリヤと美遊に救われ、英雄7,8人と妹を留学させるために来たのと、今はエーデルフェルトで逗留して、カナダ人夫妻を迎えに行く途中なのも話し、ここは正直に「異世界から来てん」と言えば「関西人なら通る」と言う結論に至り、強行手段に出た。
 そこで、説明前に後部座席からジジイが出てきてしまい、先程の天丼(繰り返しボケ)になった。
「お前、ギリガメッシュやんけ、こんなとこで何晒しとんねんっ!」
 のけぞりツッコミとかいう高等技術も披露するロード・エルメロイ。
「お前もイスカンダルの相方かいなっ」
「ホンマお前のせいで、もうちょっとで宇宙戦艦乗ってイスカンダルまで行くとこやったわ、どないしてくれんねんっ」
「なんでやねんっ、それヤマトやがな「この舟では勝てん」ってそれタコヤキの舟やっ! しかも食い終わった殻やんっ」
 とりあえず天丼ボケでこの世界のウェイバー君のツッコミにも対応するギル様。タコヤキは12個以上食ってビールのつまみにして腹一杯である。
 ロード・エルメロイも何故か「ここであったが百年目」にはならず。トリオ漫才になって、ギル様が「三波春夫でございます」と言うと両側から顔を潰され、グラサンがゆがむボケになった。
 軽く練習も済んだので、同じネタでカナダ人夫妻の家で「ウェイバー君で~す」「異世界のウェイバー君で~す」「三波春夫で御座います」とやると、違和感なく?ウェイバー君が二人なのも受け入れて貰えた?
「いやあ、冬に来てくれて以来やねえ、上の子よりあんたの方がよう帰って来てくれるから嬉しいわあ」
 もう暗示も解けているはずだが、旧知の知り合いも「極寒のカナダ、体を温めるウオッカ、ウイスキー系の強い酒、サウナから冷水か雪に飛び込む」のコンボでポックリ行く友人が続出、息子まで50台で高血圧と心臓病で長時間フライトには耐えられない体になり、たびたび訪ねてくれる友人親戚はウェイバーだけになっていた。
「お母ちゃんも若いなあ、やっぱり日本食食べとったら長生きできるんやなあ」
「ところであんたら、何で二人に増えたん?」
 やっぱり異世界は理解していなかったお祖母ちゃん。
「ああ、ワシが本物でな、こっちはコピーロボットやねん」
「誰がやっ、バトン振って「ミラ~」とか言うて、さくらちゃんのお兄さん好きになるんかいっ」
「それクロウカードやろがっ、お前んとこはエインズワースのカードやろがいっ」
「三波春夫で御座います」
「「なんでやねんっ」」
 軽くつかみはオッケーの所にご主人も来て、足が悪そうに歩いて来た。
「お父ちゃん足悪いんかいな、不便やろからエゲレスで一緒に住もうな?」
「いや、もうワシらはこの家を離れられん、最後までここで過ごすつもりだよ」
 この場所は気に入ったようだが、関西弁にはアンリマユされていなかったお爺さん。
「まあちょっと荷物置いて、エーデルフェルトさんとこ行こか? 乗って乗って。ほらこれが保存食で、ちょっと野菜も買うたで。ってお前も同んなじもん買うてどないすんねん」
 同一人物なので買ったものも同じ。勝手知ったる他人の家で、缶詰や飲み物など保存食は物置に入れ、野菜は冷蔵庫行き、100%ジュースとか牛乳も入れるが、冷蔵庫一杯分入れるつもりが2倍なので入らなかった。
「まあ食べられんかったら近所のお婆ちゃんに分けてな」
「お前どこ泊っとるねん、今日はこっち来いや」
「お母ちゃんとこ泊る気で来とるからな、空き家おってもしょうがないから行くわ」
 これでロードエルメロイが二人、バゼット二人、桜も二人、見分けは付くが士郎も二人と言うややこしい状況になり、何故か自走できないギルガメッショも付いていくことになった。
「あ~綺糺か? ワシや。神戸大橋でな、イスカンダルの相方のウェイバーと会うてな、なんや婚約者とかエーデルワイスみたいな名前のお嬢ちゃんの家いくねん。風呂上りに一杯飲んだだけで運転さしてくれへんからな、酒抜けるまで帰られへんのや」
「ついでやから呼ばんかいな、二人増えたぐらいであの家ビクともせんで」
 携帯で電話するギル様にも、綺糺を呼ぶように言って、駅まで迎えに行かせる約束もさせてしまった。夕食の支度をするオーギュストはビクともするが、現在二人の士郎がカレーの寸胴を制作しているので、ご飯かパンがあれば間に合ってしまう。
 もちろんクロエがいると、鍵を開ける能力で凜のパパをバックから挿した?相手が綺糺だとバラされてしまうので血の雨も降る。
 
 衛宮家
 もう目がイっちゃってる士郎が二人、どれだけの被害者を出せるか考えながら台所に立ち、野菜の準備は傷あり士郎、ガラムマサラを炒めて準備するのはこの世界の士郎、セラには指一本手伝わせなかった。
「良かったらこのレシピで始めて、色々研究してくれ、帰ってから美遊ちゃんにもこのカレー食べさせてやれよ」
「ああ(ニヤリ)」
 明らかに胃袋を掴んで相手をカレー堕ちさせるのが目的で笑う士郎二人。男として女を落とすと言うより、料理人として自分の料理が無いと生きて行けない状態にするのが愉悦らしい。
 研究済みのレシピ通りフライパンを温め、火の通りにくい物から順番に投入、粉末や香草も入れて香りを出す粉と言うか危険な薬物を炒め始めると、素晴らしい香りがしてしまい、近所からタイガーが走って来てファッチューチュンの坊さんならぬ、女教師が壁を乗り越えて来て、自分のカレー皿とスプーン、炊き立ての五合炊きの炊飯器も持って来た。
「や、野菜とカレー肉は買ってくるわ、私にも食べさせて……」
 何かガクガク震えながら、中毒患者の目でカレーを要求する大河。もし求められたら、ファーストキスでも処女でも何でも士郎に支払うつもりでいたので、もうお嫁には行けない体に改造されていた。
 セラも士郎に暴力を振るったのを忘れ、カレー禁断症状で手が震えるのを抑えられず、普段マイペースのはずのリズまで震えていた。四日目のカレーと違い、士郎が作る炊き立てのカレーには人間の脳を狂わせる香りがあった。
「ひいっ、この香り、ホムンクルスには薬物耐性があるはずなのに?」
 士郎君の麻薬カレーに、アイリママも思わず昇天。もう夫よりも体が士郎を求めてしまっていた。
「せ、先輩……」
 前に大人用カレーを食べてしまった桜も、ガクガクと震えだし、異世界の先輩の所にお嫁に行くのは失敗ではないかと思ったが、極秘未公開、暗号書き込みも、同一人物が見てしまえば同じで、士郎同氏はカレー専門店の支店や店員同士みたいに「どれだけ客を狂わせられるか」を目的として悪質な情報交換までしていた。
「ちょっとこの粉は依存性があるんだ。あのルヴィアとか、気が強い遠坂を狂わせてみたいと思わないか? イリヤと美遊ちゃんにはちょっと早いから、子供用の甘口には入れないけど、大人用には」
「ふっふっふ、お主も悪よのう」
 料理人の愉悦を話し合っていた。
「ああ、一成か? 今カレー作ってんだけど」
「今すぐ行くっ!」
 すべての用件や約束を反故にして、カレー即決で来ると言った一成。
 クロエは半月ぐらい会っていなかった雀花とミミに帰還を告げ、本番、いや本物の一成のカレー堕ちを見せるために呼んだ。ナナキとか嶽間沢のオッサンも娘と一緒にカレー堕ちさせるために呼んだ。
「ぐっへっへっへっへっ」
 偶然ギルガメッシュと綺糺もカレー堕ちさせてしまうが、桜のように料理できる人物は被害が少なく、凜、ルヴィアは被害甚大、何もできないバゼットは士郎を神として信仰、命を落とす可能性すらあった。
 
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