| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Fate プリズマクロエ お兄ちゃん強奪計画

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ロード・エルメロイ聖地巡礼に向かう

「と言うわけで、私たちは「夏休みのしゅくだい」で世界を一個救って、あっちの世界では七英雄って呼ばれてるのよ。一成さんの代わりにジュリアンってのがいるから、そいつも入れると八英雄。高校生のみんなは魔術協会に目を付けられて、元から留学してた凜とルヴィア以外も留学のお誘いとか、養子とか、結婚の依頼が絶えないって訳よ」
 傷あり士郎の涙と義父への告解?で全部持って行かれ、空気を読んだクロエの簡単な説明だけで通ってしまった。
(((夏休みの宿題で世界救ってんじゃね~よ)))
 夏祭りの金魚救い?か、あさがおの観察、程度に言われてしまい、心が荒むママ、セラ、リズ。
 切嗣とアイリの努力は、子供のなつやすみのかんさつ、にも劣るものとして扱われた。
 この世界の士郎も切嗣並みにクロエにアンリマユされているので、妹の言葉に目を細めて聞き入った。
「うん、みんな凄いなあ」
 何も考えていない傷なし士郎に怒りも覚えず、カピバラでも見るように癒される一同。(但しイケメンに限る)
 信用度が高いはずのスーツ姿で大人のバゼットは出番がなく、無口なのもあって口下手で、日本語も上手ではなかったので説明を辞退。
 出番が無いので、誰かの護衛に参加するか、英国方面に出国する準備をしようとしたバゼットだが、この一言で転んだ。
「カレーあるわよ」
 後ろ髪を惹かれると言うか、影縫いを食らって足止めされ、「バックもできるよ」のポーズで巻き戻って元の席に座った。
 真夏で全員食欲も無く、セラが素麺茹でるだけとか、リズかママならご飯に漬物だけ?で通そうとするので、カレーだけが生きる綱で、痩せて行かない唯一の手段でもあったアインツベルン冬木支店。
「お兄ちゃん、カレーどのぐらい残ってる?」
「鍋に移したから一日分ぐらいかな?」
 バゼットもイリヤも美遊もゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
「みんな帰って来たから寸胴一つお願~い」
 妹のパン見せオネダリで士郎の料理人としての火が付いた。
「分かった」
 客人全員を汚染するため、研究に研究を重ねた、七味唐辛子(ケシ入り)カレーを請け負って、何人タヒなせられるか期待に顔を輝かせた士郎だった。

 ロード・エルメロイは、異世界ではあるが数か所に挨拶を行うため、オーギュストの運転で家を出た。
 ルヴィアも同行し、異世界なので護衛も不要かと思えたが、異世界バゼットは魔術協会の執行者なので、上司を護衛した。
 今は亡き人に手向ける花を買い、好物だった食品も購入する。案内するはずだったルヴィアは、以前この地に滞在した事のある、エルメロイ卿に逆に引っ張って行かれた。
「大将~? もうかりまっか? タコヤキ一舟なんぼや~?」
「10個でさんびゃくごじゅうまんえん」
「うわ~痛~~っ、ってそんなするかいなっ、自分話盛り過ぎやで~(裏拳ツッコミ)」
「お前ガイジンやのに頭沸いとんのかい?(褒め言葉)」
「しゃ~ないなあ、3舟頂戴」
「よっしゃ、勉強して一千万円や」
「細かいのあれへんねん、はい、いっせんまんえん」
 異世界百円十個で千円を支払う、万札しか交換していないので、平成じゃない硬貨を使用すると足が着く。
「十枚とか、ええ加減にしなさっ」
「は~っ、さいなら~っ!」
 残念な事に、ロード・エルメロイは流暢な関西弁でタコヤキ3舟を購入した。
(せ、先生が日本語? それも関西弁?)
 ルヴィアは英語で話す時の重苦しいエルメロイ卿と違い、軽トラの後ろで開いている汚い屋台で、ウェイバー君がコントのように関西弁を駆使してタコヤキを買うのを見てしまった。
 こちらの世界、それも「関西」と言う場所は特殊で、ほんの数語の言葉を覚えるだけで現地人とのコミニュケーションが可能な地域である。
 それは「もうかりまっか?(挨拶)」「何でやねんっ(裏拳ツッコミ)」「ほんまでっかいなそーかいな(真顔棒読み、眉唾物など)」「さんびゃくごじゅうまんえん(350円)」「うわ~痛った~、もう堪忍してや~(顔を逸らし裏拳ツッコミ)」「自分話盛り過ぎやで~っ」「お前頭沸いとんのかい(褒め言葉)」「ええ加減にしなさっ、は~っ、さいなら~っ!(別れの挨拶)」であり、語彙がこれだけでも十二分にコミニュケーションが成立する。
 残念な事に、カナダ人夫妻はこの言語と粉モンにもアンリマユされていて、ウェイバーとライダーが、どっかの魔法少女みたいに夫妻に術を掛け、サリーちゃんみたいに逗留している間にも、この言語を教えてしまっていた。
 逆に言うと商店で物を購入する際にも、自動販売機以外の売買、タコヤキ購入でもこの挨拶を必要とされて、標準語などで「ご主人、たこ焼きを下さい」と真顔で話すと、異世界人として排除されるのでご注意願いたい。
 世界でも類を見ない低俗で性根が曲がっている関西人。大阪のオバハンならTVのロケでも客いじりとかネタ振りする必要も無く、勝手にボケてツッコンでノリツッコミ、天丼(繰り返しボケ)ありあり、頭の悪さと言うか、トークやコミュ力が無いと生きていけないし、逆にTVスタッフがヒョウ柄のオバチャンに飴玉を貰える。
 京都なら「はんなり」していても皇居の近くに住むものがヒエラルキーが高く「ぶぶ漬けおだししまひょか?」の腐った性根、「美味しい」と言われる抹茶の茶道用茶菓子はただの粉、上品で綺麗でも食品ではない。
 神戸と言うか冬木市はちょっと気取って恰好を付けているものの、一皮むけば関西人で、ボケるしツッコムし、スーパーのレジのおばさんでも「さんびゃくごじゅうまんえん」である。
 ウェイバーは、アレクサンダー大王を「相方」と呼んで、お互いを「大将(大王なので)」「兄さん(召喚されたので)」と呼んで裏拳ツッコミまで行う不敬の大罪を犯し、戻ったアレクサンダー大王も、アイオニオンヘタイロイで流行らせて、王の軍勢全体がアンリマユされちゃっていた。
「ホンマえらいこっちゃで、セイバーが「エックスカリバー」とか抜かしたらな、わしらの戦車、タンクとちゃうで、チャリオッツの方や(両手の指で牛のパカパカ表現)、それがまあぶった切られてしもてなあ、牛が引いとったのに可哀そうにウワッチャ~~って感じでドカ~~ン!切られてしもて、わしらコンビで「うわDSGHしYTK~~」って歌わされてしもてな、ホンマ可愛い顔してえげつない姉ちゃんやったで~」
 車内でも、ウェイバー君はタコヤキを食べながら、マシンガントークで第四次聖杯戦争を解説してくれて、関西弁で顔真似、擬音、形態模写アリアリで車内を爆笑の渦に叩き込んだ。
 さらにアツアツのタコヤキを、オーギュストとバゼットに食べさせるのに、「二人羽織」をして口に入れようとして「熱っ、熱っ、熱っ」「それ鼻っ」「今度目やがなっ、うわ眼鏡落ちた、メガネ、メガネ、メガネ」のボケを自然にやらせて、ルヴィア手を叩いて大爆笑。車内でドッカンドッカン笑いを盗んでいった。

 何故か事故も起こさず、最初の目的地、冬木大橋の帰り側、北行き方面の車止めの展望台的な場所に到着した。観覧車や特徴のあるホテル、KAWASAKI表示も見えた。
 想い出の場所の下を通過しないよう、トンネルで島に渡り、帰りに大橋を渡った。
 一段下に南行きの道があって、フェリー乗り場の地面もあるので、風向きを考えて投げないと花はオケアノスに届かず、タコヤキを投げる時も、明石家さんまの小林投手のモノマネで投げた。
「オノレ今、海に何投げた? 海汚すなやアホンダラ」
 離れた場所に車を止めていた、ヤンキーに絡まれてしまう一同。寝かせた金髪にサングラス、Tシャツに短パンサンダルの夏の装いだが、見覚えがあり過ぎた。
「お前ギルガメッシュやんけっ、こんなとこで何晒しとんねんッ!」
 感極まって? ロード・エルメロイは現世に受肉していたギルガメッシュの頭をドツいた。
 もう「雑種」認定で「犬には相応しい最期を呉れてやろう」の場面だったが、ギル様はすでに関西地方の水と粉モンにアンリマユされていたので、上から叩かれたのに、手近なオーギュストまで飛んでプロレス風に跳ね返って帰って来てもう一回ドツかれた。
 所謂「関西名物ハリセンチョップ」であるが、ルヴィアの乳に跳ね返ると言う選択もあったのに「きゃあっ」とか言われると笑いが死ぬので、あえて選ばなかった。
「うっわ、何さらすねん? 初対面の人間にここまでするか?」
 ギルガメッシュと呼ばれた時点で関係者なのがわかったので、ボケまくりのジジイ。
「ど~こ~が~初対面やねん、うちの相方とか王の軍勢の皆さん、ここで殺したんお前やがな」
 のけぞりツッコミとかいう高等技術も披露するロード・エルメロイ。
「あ、お前ライダーのイスカンダルの相方やんけっ」
 この世界の神羅万象は、ギル様も飽きさせなかったらしい。
「やっと気ぃ付いたんか? ホンマお前のせいで、もうちょっとで宇宙戦艦乗ってイスカンダルまで行くとこやったわ、どないしてくれんねんっ」
「なんでやねんっ、それヤマトやがな「この舟では勝てん」ってそれタコヤキの舟やっ! しかも食い終わった殻やんっ、一個ぐらい残しとけっ」
 土日はテレビをつけているだけで、勝手に安っすい関西ローカルのお笑い番組が流れて来て脳の中身までコテコテ洗脳。
 関東なら嵐とかゴールデンで放送しているのに、関西だけ上沼恵美子のエミちゃんねる。昼の帯番組もウェイバーがいた頃は、平日毎日やしきたかじんの晴れときどきたかじん。
 綺糺にもノリツッコミまで覚えさせられ、現在の相方ともうまくやっているらしい。
「何かデスラー総統みたいな青い顔さらしやがって、ヒキコモリニートか? 深夜番組で「ギルガ~メッシュ(手でハート)」言うとる場合ちゃうで?」
「誰がヒキコモリやねんっ、この綺麗なお肌見てみ、どない見ても50過ぎには見えへんやろ? 直射日光はお肌に悪いねん」
「う~わっ、コイツ、サングラスに度はいってんで? それも半分下老眼や、う~わダッサ、ジジイ丸出しやん、免許に「眼鏡等」って条件付きの後期高齢者様や、枯れ葉マーク貼っとけや」
 ルヴィアとオーギュストもバゼットも、長年の不倶戴天の敵との会話とは思えず、思わず吹き出してしまったが、ギル様の老眼鏡付き遠近両用サングラスで笑うと不敬で死刑が普通である。
 しかし、受けてしまって笑いを取れたギル様は、ドツかれた勢いだけでサングラスを額の上にあげるテクニックを披露し、横山やすしの「メガネ、メガネ、メガネ」の動作をして神戸大橋の上を探し始めた。
「グラサンお前の頭の上やがな? アレッ? そない言うたら、ワシこの世界のウェイバー君とちゃうわ、異世界人やった」
「もうアンタとはやっとられんわっ」
「「は~サイナラ~~」」
 ドツキ漫才のお笑い芸人たちは、拍手しながら舞台の上下(かみとしも)に別れて退場した。

「(英語)あの、先生? 相手はギルガメッシュなのでは? 先程車内で聞いたアレクサンダーグレイトの仇ですよね?」
 日本語で聞くと、関西弁でボケられてしまいそうので英語で聞いたルヴィア。
「ああ、奴こそが我が王、アレクサンダー王を倒したサーヴァントだが、私は異世界人、奴が直接の敵ではない。すでに第四次聖杯戦争が終了して数十年、もう痛みも悲しみも過去の事だ。奴も勝者では無かったが、異世界でも現世に受肉したと聞いて暗殺も考えた。それすら過去の事だ」
 英語でマジに答えられてしまい、言語の違いだけで、ここまで両者の人格が変更されるのにも驚かされた。
 アンジェリカだけでなく、美遊の性格まで汚染したギルガメッシュ、それが関西芸人にまで落ちぶれ? いや言語変換だけで結構ファニーな人物になっていた。

 暫くして車を出すと、ギルガメッシュの車も付いて来てしまった。Zeroなら大ピンチだったり、セイバーがVMAXのバイクを運転する場面だが、ロード・エルメロイは冷静に決断した。
「あ、このまま三ノ宮出て、神戸製鋼の北までたのんますわ」
 オーギュストに、タクシーの運ちゃんに頼むぐらいの気軽さでお願いした。
 
 

 
後書き
まあ当然ですが筆者も冬木?住人です。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧