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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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18部分:愚王の末路その一


愚王の末路その一

                    愚王の末路
 ヨハン、ヨハルヴァ両王子とその軍を組み入れた解放軍はイザーク城に歓呼の声で迎えられた。義勇兵や盗賊団の帰順もありその兵力は今や四万にも達していた。
「凄い軍になってきたね」
 イザーク城西リボーをのぞむ傾斜部の中央にある平野部で陣を敷きながらセリスはオイフェに言った。
「はい。やはり両王子とその軍勢の加入が大きいです。訓練も行き届いておりますし武装も良いです。それに加え兵種も多様です。軍に厚みが出て来ました。喜ばしい事です」
「ペガサスナイトやマージだね」
「はい。ただこれといった指揮官がいなかったのが不安でしたがシレジアから来た八人を指揮官にする事でそれも解消されました」
「あとトラキアから来た竜騎兵達とリフィス達盗賊団だね」
「そうですね。ドラゴンナイトやシーフがいると攻城戦及び城内戦が楽になります。ただ・・・。リフィスの素行が」
「素行?」
「はい。何しろ口八丁手八丁の男でして。賭け事はするわ大酒は飲むわ」
「それ位ならいいんじゃない?」
「まあそうですが。我が軍の軍律を乱す様な事をしでかさないかと心配です」
「大丈夫だよ。弱い者虐めが嫌いだしあれで面倒見がいいしね」
「はあ。あとサフィに付き纏うのもどうかと思いますが」 
「それを言ったらねえ。ヨハン王子もヨハルヴァ王子も一緒だよ」
「そうだといいのですが」
 セリスは話を変えた。
「補給はどうなってるの?」
「はい、補給路の整備、物資の調達、将兵への給与等全て順調です。補給なくして戦争は有り得ませんからな」
「いつもオイフェが僕に言っている事だよね」
「はい。どんな時も食料と武具は欠かせません。それがあって始めて武勇や知略が生かされるのです」
「あと常に訓練する。闘技場も入れて」
「闘技場は実戦経験を積む為にも。多額の報酬も得られますし傷を癒すプリーストの修業にもなります」
「主人が僕達が強過ぎるってぼやいてたよ」
「ははは、まあ私も皆ここまで強くなるとは思いませんでした。しかしそうでなければこれからの戦いには勝てませんぞ」
 オイフェは真剣な顔になり遠くにその威容を誇示するリボー城を見た。
「イザーク軍は七万、特にドズル家の誇る斧騎士団とダナン王直属の親衛隊の二つが脅威です」
「斧騎士団と親衛隊・・・」
「特に親衛隊は親衛隊長ホプキンズを筆頭にその残虐さと獰猛さで際立っております。ダナン王とあの者達によりイザークは暴虐と非道に支配されておりました。討たなければなりません」
「うん」
「勝ってイザークを暴君とその一派から解放するのです」
 黄昏が世界を支配する頃解放軍は陣を整え終わり眠りに入った。夕食は固いパンに馬鈴薯、ソーセージに野菜が入ったシチューだった。量こそ多かったが粗末な食事だった。これは解放軍全ての者がそうだった。
 翌日の朝イザーク軍先遣隊は解放軍が陣取る平野部の下にある傾斜地に到着した。スレッダー将軍率いる斧騎士団である。
 白い長髪に茶の瞳を持ち、茶の鎧に身を包み馬上にある将軍は軍の先頭に立っていた。その後には精鋭斧騎士団一万がいる。
「いい場所にいるな」
 スレッダーは多少忌々しげに上を見た。傾斜から平野にかけて左右には森が繁り迂回作戦も困難にしている。
 
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