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暁ラブライブ!アンソロジー~ご注文は愛の重たい女の子ですか?~

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私が守ると決めたから 【ひかる】

 
前書き

さてさて本日もやってまいりました。なんと、今日はTwitterで絵を描き、また僕の作品の表紙絵も担当してくださった”ひかる”さんによるお話になります!!


はじめまして!ひかると申します。
普段はこの企画の発案者、ウォールさんをはじめ、何人かの小説書きの挿絵を描かせていただいております。

ですが、今回はちょっと色を変えて小説に挑戦してみました。
今回の小説のテーマが「ヤンデレ」ということでしたので、『排除型』のヤンデレを書いてみました。(けれどヤンデレがメインというより病んでいく過程がメインかなという印象です…すみません……)

大変申し訳ありませんが、私、ひかるはラブライブ!に関しては、二次創作とWikipediaの知識しかありません。
なので、物言いがおかしい点や、アニメや漫画の展開と異なる点があるかもしれませんがご了承ください。
あと本編での展開を一部拝借しています(ここだけアニメを少し観ました。けれど参考にした程度なので、その展開も変更して描写してあります。)。

また、この話は過去改変ものとなっている上、いじめの描写があります。苦手な方はブラウザバック。
加えてこの物語は、ラブライブ!の1年生組が中学2年だったときの時系列で話が始まっています。

以上の趣旨をご理解いただければ幸いです。

それでは、どうぞ。
 

 
私の世界は、いつも真っ暗だった。


「やめるにゃ!いじめしてたってそっちには何の得もないにゃっ。カッコ悪いにゃ!」

そう言いながら彼女が私の前に立ちはだかった、その時まで。
























***************

「あっれー、小泉じゃん。なんでまだ生きてるの~?」

あ、まただ。また、会ってしまった。

「ほんっと、存在が迷惑って感じ。さっさと死ねよ」

前から勢いよく迫ってきた脚は、私の胃のあたりを直撃した。
ぶち当たった衝撃から咳き込み、そのまま蹲る。私の腹を蹴飛ばした、黒髪ロングの少女は、しゃがんだ私を見て、口角を吊り上げて笑う。彼女の顔立ちが整っているのもあって、その笑みがより毒々しいものに見えた。
彼女の笑い声と同時に、彼女を取り巻く周囲の目も、好奇の目へと変わる。彼らも彼女らと同様に、私を蔑んだ目で見、好き勝手言い、私に指を差して笑った。
私を包み込む、あざ笑う声。好奇の目。
そしてどこからか沸き起こる、「死ねよ」のコール。
それは次第に大きくなる。
まるで大罪を犯した囚人の処刑に、歓声をあげるように。

時に観衆の中に、心配そうにこちらを見つめる生徒もいる。
かつては最初は彼女らの行為を教師に訴える生徒もいたし、生徒の声に耳を傾け彼女に注意した教師もいた。が、その教師が行方知れずとなって以来、誰も助けを求めようとせず、こちらに手を差し伸べることもしなくなってしまった。教師も教師で、当初私に哀れむような眼を向けていた教師も、今はもう腹を抱えて蹲る私を横目に、何事もなかったかのようにそのまま通り過ぎて行くようになっていた。


一体私が何をしたというのだろう。
私はただ目立たず、木陰に生える雑草のように地味に生きてきた。
誰にも注目されることもなく、誰の興味を引くこともなく。
静かに教室の隅で本を読んで過ごしていただけなのに。
私の何がいけなかったのだろう。
私の何が彼女の気に障ったんだろう。
私の何が、こんな事態を引き起こしたのだろう。

親に相談しよう、とも思ったが、そんな勇気も気力もどこにも残っていなかった。
私をかわいがって育ててくれた、親にそんな告白をしたら、間違いなく心配をかける。また私が迷惑をかけてしまう。
それに、親に言い、学校に訴えに行ったところで、どうせこの事態が収まることはないのだろうとわかっていた。
私を助けようとしてくれた先生は、まず校長に直訴した。が、事なかれ主義の校長に、助けを求めても無駄だとわかると、今度は市と県の教育委員会に乗り込んだ。しかし、県内の行政を牛耳る彼女の親に圧力を掛けられた教育委員会は、その心優しい教員の職を奪った上で、いじめの事実をもみ消した。
更に、そのことがきっかけで、私は身に覚えのない噂まで流されるようになり、ますます冷たい視線を浴びることとなった。

だったら尚更、言わないほうが身のためだと、そのとき悟った。

ならば、と逃げる道も考えた。だがどの建物も屋上には入ることはできない、海も川も、広大な山や森林も周囲にほぼ無い、毒物なんてそう易々と手に入るものでもない、人の体重を支えられるほど頑丈なロープなんて家にはない。

それになによりも……死ぬことが怖い。

逃げるなら、彼らから離れられる、その時を待つほかに手段はない。


中学を卒業するまでの残りあと1年半、この地獄の中で耐える以外に、私が生き延びる術はない。

そう、思っていた。

******************

その日も相変わらず、彼女らの足の下で、制服を埃まみれにしていた。
背中から、ゴリッ、と硬い音がした。背骨の部分を踏まれたようだった。

「こいつ、泣きもしないしうめきもしないじゃん。痛み感じないの?」
「ていうかこいつ、もしかして人間じゃない?だとしたら何、下等生物?」
「それ下等生物に失礼だから。そうじゃなくてさ、こいつ、宇宙外非生命物体なのよ、宇宙外非生命物体。だから何も感じないし、私たちが何をしても何も言わないんじゃないの?」
「あっはははは、そーか、宇宙外非生命物体!じゃあ、つまりうちらが何しても、こいつは意思持ってないから何も感じないってことか!めっちゃいいじゃんそれ」

あっははは、と少女たちの快活な笑い声が、廊下に響き渡る。
背中が足と床に挟まれている感触がある。
その感触は、時間とともに強まっていく。
だけど、痛みなんてこれっぽっちも感じない。
最初こそは痛いと声を漏らし、激昂した彼女たちにかかと落としを食らっていたものだった。
だが、顔を合わせるたびに行われているこの行為に、いつしか慣れてしまった。
今はただ、床に押し付けられているせいで肺が圧迫され、息がしづらい。それだけ。
苦しさは感じない。むしろ、このまま息ができなくなって、いつか息絶えるのかもしれない、と考えたら、これはこれでいいんじゃないか、このまま楽になれるなら好都合だ、とすら思えてきた。



その時だった。



頭上で風を切る音がした。

次の瞬間、どっと何かが落ちる音とともに、私の背中が軽くなった。

「だ、誰だ!こんなことして、ただじゃおかねーぞっ!」

私を足蹴にしていた、茶髪の少女が怒鳴る。

恐る恐る顔を上げると、先程まで私を踏みつけていた少女2人が、顔を歪め腹のあたりを押さえているのが見えた。
そして、私の目の前には、明るい光とともに大地を照らす暖かな太陽を彷彿とさせる、オレンジ色のショートヘアの女の子。
何が起こったのか見当もつかず混乱していると、少女が言った。

「やめるにゃ!いじめしてたってそっちには何の得もないにゃっ。カッコ悪いにゃ!」

 少女のよく通る声に、周囲の視線が一斉に集まる。絶好の機会と思ったらしい、2人は、少女をまくしたてるように言った。

「はあ!?ちょっと遊んでやってただけなのに、何その態度!」
「あんたには関係ないでしょうが。どこの誰だか知らないけど、水差すようなら帰って。」

少女たちの顔には苦痛の色がにじみ出ていた。しかし、それでも弱いと思わせまいと、ガンを飛ばして、オレンジの髪の少女に歯向かっている。
しかし、私の前に立ちはだかっている少女は、なおも怯むことなく、堂々と構えていた。

「何が『遊んでやってた』……?何が『関係ない』……?これは立派ないじめ、絶対人としてやっちゃいけないんことなんだよ!」

少女が反論する。それが癪に障ったらしい、リーダーの少女が反発する。

「ふざけんな……お前なんか私1人で潰して…」

そう言いかけ、周囲に同意と周りを見渡した。しかし周囲の目は、今までの悪行が返ってきたと言わんばかりに、冷ややかだった。
その視線に気づいたのか、少女たちはきまり悪そうな顔をして、

「ふん、覚えていなさい!」

とだけ言って、そのまま急ぎ足で教室に向かった。

それにしても、どうしてこの子はあの子たちを追っ払ってくれたんだろう?
私の噂を聞いてはいないのだろうか。
何か目的があるんじゃないだろうか。
そんな疑問と邪推が頭の中で渦巻く中、少女は、私のほうを振り返り、

「もう大丈夫だよ!怪我はない?」

と、私の顔を覗き込み、私に手を差し伸べた。




じわり、と視界が滲んだ。

そしてそのまま、大粒の涙がいくつも頬を伝った。

「うにゃっ!?大丈夫かにゃ!?怪我でもしてたの?踏まれたとこが痛いの、ねえ……あわわわ、どうしよう…」

 狼狽える彼女を前に、私の目からは止め処なく涙がこぼれ落ちていた。

「ううん、平気……ありがとう、ありがとう……!」

 まともに言えたのかわからないけど、何度も何度も、手を差し伸べてくれた、陽だまりのような彼女に、礼を言った。床を擦り埃まみれの制服で、涙で顔をぐしゅぐしゅにしながら……

 終わりの見えない闇の世界に、どこまでも氷のように冷たい世界に、太陽のように暖かな光が差し込んだ。
 そして陽の光に照らされた世界で、私は少女と一緒に歩んでいくと決めた。

****

 それからというもの、私は少女と「友達」として、多くの時間を共有していった。

 少女は名を「星空 凛」といった。凛ちゃんは、星空というよりは寧ろ、昼間に顔を出す太陽のように、明るく天真爛漫な少女だった。
 でも、ちょっと不思議なところや意外なこともあるようで。
 身軽だったり、口癖が「にゃー」だったりと猫みたいなのに、魚が苦手だったり。
 運動神経いいのに体がめちゃくちゃ硬かったり。
 私の名前は「はなよ」なのに、私のことを「かよちん」って呼んだり。
 普段積極的で協調性も高いから、リーダーとか向いていそうなのに、実は引っ込み思案なところがあって、そういうの苦手だったり。

 でも、だからこそ一緒にいて飽きないし、話も面白いから、凛ちゃんと過ごす時間がどんどん増えていった。

 お弁当の日は、教室に凛ちゃんを呼んで、向かい合ってお弁当を広げた。
 休み時間は2人で廊下に出て、他愛もない話に花を咲かせた。
 放課後には、どちらかが部活で遅くなっても、必ず終わるまで待って一緒に帰った。
 試験の前には、どちらかの家に行って勉強会もした。
 時に休みの日に、秋葉原や渋谷とかに出て、日が沈むまで買い物をしたり街並みを見たりした。

 私がかつて願っていた、そしていつしか望むのをやめてしまった、当たり前の「友達との」日々。普通の女子中学生らしい、楽しい時間。
 それが今、私の手の中にある。
 夢じゃない。

 その時間が、傷ついた私の心を癒していった。




けれど、どういうわけか、私の心と体の傷が癒えていくと並行して、凛ちゃんの体に傷が増えていった。

「どうしたの、凛ちゃん。何かあった?」

 そう尋ねても、凛ちゃんは「転んだ」と笑うだけだった。言われた時は「そっか、お大事にね」と軽く流していたけれど、顔に青あざを作ってきたり、時折せき込むようになったり、明らかに不自然な擦り傷や切り傷があったのには流石に気になった。

 だから、凛ちゃんを少しだけ尾行することにした。

****

 やはり、とでも言うべきだろうか、すぐに犯人は見つかった。

「ちょっと、こいつと話をしてただけなのに、なんであんたがいるのよ。あんたには関係ないでしょ。」

 地べたにへたり込んでいる凛ちゃんの髪を引っ張りながら、あの見慣れた黒髪ロングの少女が鬱陶しそうに言った。少女の隣には、同じく見慣れた少女の取り巻きの少女がいた。
 凛ちゃんの髪はぼさぼさで、髪が引っ張られて見えた頬には、新しくできたと見える痣があった。ふわりと可愛らしく丸っこい顔も、猫のように柔らかい髪も、白生地の制服も地面の土にまみれていて、少女たちにかつての私と同様のことをされていたことを如実に表していた。

「関係あるよ……凛ちゃんは、私の友達だもん。友達を傷つけるなんて、絶対許さないから。」

 今までの臆病さを振り払い、嘘偽りのない、今の私の気持ちを少女たちにぶつけた。
 だが、その回答は、彼女たちの想定の範囲内なわけで。少女たちの品の無い笑い声が、辺りに響き渡った。

「はああ~?何言ってんの?あんたに友達なんているわけないじゃないの~。あ、もしかして、こいつにかばってもらえたからそう思い込んでんの?カワイソ~」
「あ~あ、友達ごっこされているとも気付けないのか~……ま、今まで友達いなかったんだからそんなことも区別つかないもんね、


か・よ・ち・ん」


かあっ、と頬が熱くなるのを感じた。
かよちん、それは生まれて初めてつけてもらった、私のあだ名。
凛ちゃんだけが呼んでくれる、特別な愛称。

凛ちゃんと私の宝物。

それを侮辱するなんて。

「かよちん!凛はいいから早く逃げるにゃ!じゃないとまた……」

逃げろ、と凛ちゃんが促す。
取り巻きが凛ちゃんに肘をお見舞いする。
凛ちゃんが、ぐふっ、と苦しそうな声を上げる。
黒髪の少女が凛ちゃんから手を放し、地面に倒れたところで、凛ちゃんの頭を鷲掴みにして地面にうずめた。
凛ちゃんが苦しそうにもがいている。
少女たちは、もがく凛ちゃんを見て、更に大声で笑った。

このまま傷つけられているのを見ているだけでいいのか。
こんな風に傷つけられている私を、凛ちゃんは助けてくれたじゃないか。

凛ちゃんを傷つける人は、例え親でも許さない。



凛ちゃんは、私が守る。



考える間なんてなかった。ちょうど足元に、短めの鉄パイプが転がっていた。

「おら、おとなしくしていろよ、そうしてりゃじきに楽に……」

パイプを構えた私に気が付いたらしい、こちらを見た取り巻きの少女は、悲鳴を上げる間もなく、一目散に逃げて行った。

取り巻きが逃げたことにすぐ気づいたのか、黒髪の少女は取り巻きを呼び止めようと、
「おい、どうしたんだよ」
と声を掛けた瞬間、私の存在に気付き、

「おい、小泉、冗談よせよ……」

と、ひきつった顔で言った。

冗談?とんでもない。私は、凛ちゃんを守るんだから。
真っ暗だった私の世界に、光を差してくれた凛ちゃんを。
教師ですら逆らえない、大きな権力を持つ2人に向かって、勇気を振り絞って立ち向かってくれた凛ちゃんを。

今度は私が、守ってみせるんだから。

渾身の力で、鉄パイプを振るった。

しかし当たる寸前、少女は後ろに下がってパイプを避けた。そして彼女は、「て、てめえ次は覚えてろよ!」と捨て台詞を残し走り去っていった。

これで凛ちゃんを守ることができた。
漸く、凛ちゃんに恩返しをすることができた。

「かよちん、助けてくれてありがとう。かよちんいてくれなかったら、凛どうなっていたかわからなかったにゃ。」

凛ちゃんが土のついた顔を綻ばせて言った。
全身に土がついている以外に、特に外傷はないようであった。

「うん、私も、凛ちゃんが無事でよかった」

満面の笑みで、返事をした。

けれど、心の底から安堵しているわけではなかった。


私を守ってくれた凛ちゃんが、また私の所為で傷つけられたら。
私の目の前で、つらい思いをするようなことがあったら。

ううん、そんなことがあったら、私がまた守ればいい。
そうしたら、凛ちゃんも嫌な思いをしなくていい……



***



その後、何事もなく時は流れ、私たちはあの忌々しい記憶の残る中学を卒業することができ、そして音ノ木坂学院に入学した。
恥ずかしがり屋の私でも、凛ちゃんのおかげでクラスに馴染むことができたし、いじめもなく中学のころいたようなボス女子もいなくて、平和な暮らしを満喫することができた。
また、長年私が憧れをもっていた「アイドル」に、凛ちゃんと一緒になることができた。
廃校の危機から学園を守る、という目的で立ち上げられたもので、活動も最初は学校の講堂でやるような小さいものだったけれど、私はそれでもアイドルをやれることが楽しくてたまらなかった。今まで特に大きな衝突もあったけれど、凛ちゃんに被害が及ぶことがなかったから、安心していられた。

そして何より、凛ちゃんと同じクラスだったから、アイドル活動でも、学校でも、今まで以上に凛ちゃんと一緒にいる時間が増えていった。
授業中も、移動時間も、体育の前後の着替えも、トイレも、休み時間も、お昼も、活動中も、一緒にいることができる。
私はそれが、一番うれしかった。

そんな楽しい学校生活を送っていた、ある日。



「ええ~っ、凛がリーダー!?」

その日は文字通り、暗雲が立ち込めていた。台風で戻れないらしいμ’s2年生組の代わりにと、リーダー代役に凛ちゃんが抜擢されたということらしいのだ。

「そのほうが練習に力が入るだろうと思って。勿論、穂乃果たちが修学旅行から帰ってくるまでの間だけで、戻ってきたらまたリーダーは穂乃果がやることになるわ。」

絵里ちゃんが言った。
練習に力が入る?とんでもない。
凛ちゃんが困っているの、わからないの?そんな状況で、練習に精を出せるとでも思っているの?

「え、でも……」
「ウチとえりちと穂乃果ちゃんで相談した結果なんよ。ウチもえりちも皆、凛ちゃんが適任やって話してたし。」

「皆」……?いや、私初耳なんだけど。しかも、凛ちゃんはあんまりリーダー業得意じゃない。現に凛ちゃんの目は潤んでいて、私に助けを求めている。
私も、こんな一方的な決定に、黙っちゃいられない。

「凛ちゃん引っ込み思案なところがあって、リーダーとか苦手な子なんだよね。それに、総意って言ってたけど、私何も聞いてないよ。それって総意とは言わずに勝手っていうんじゃ……」
「そんなこと言っている場合じゃないわよ!今、穂乃果たちが戻れないから、ってことで代役を凛にするって穂乃果たちが言ったんじゃない。」
「にこも真姫ちゃんに賛成。ていうか、苦手だから、できないからやらないってのは無責任だと思うんだよね。苦手だからこそやってなんぼじゃない?やらなきゃ誰だってできないわよ」

真姫ちゃんとにこちゃんが冷たく言い放った。

それじゃあ、皆は苦手なことを押し付けて平気なの……?
凛ちゃんがこんなにも拒絶しているのに、それでもなお、やらせようとするの……?
そんなの、いくら何でも酷すぎる。



「わ、わかったよ、凛やるよ……皆、わがまま言って…」





















「ううん、その必要はないよ、凛ちゃん。」


チキチキチキチキ、軽い音が、静かな教室に響く。
凛ちゃんが、しまったという顔でこちらを見ている。
他の皆は、あっけにとられている。

「やっぱり皆も、凛ちゃんを傷つけるんだね。あいつらと同じ、醜い人間だったんだね。」

今、私は笑っているのかな。
口角が上がっている感じがするけど、よくわかんないや。


「やめて花陽……!こっち来ないで……」
「ごめんてかよちん……やから今から話し合おう?話し合って決めよ?ね?」

恐怖に染まった顔で、真姫ちゃんと希ちゃんが言った。

もう、意味のない謝罪も弁護も、懇願も関係ない。
手に持ったカッターナイフを、彼女たちに向かって振るった。







教室に悲鳴がこだまする。やめて、と凛ちゃんが私に縋りついてきたけど、元を正せば凛ちゃんにいやな思いをさせようとしたんだから、凛ちゃんを傷つけようとしたんだから、いくら止めようとしてたって、やめる理由なんてどこにもない。
寧ろ、これは正当な行為だ。
‘私の’凛ちゃんを、傷つけようとしたことへの制裁だ。
だから、完膚なきまでに叩きのめしてしまえ。
彼女たちが2度と、凛ちゃんを不快にさせることを言わないように。
もう2度と、中学のあの頃みたいに、凛ちゃんが傷つけられることがないように。


「凛ちゃん、私、あの日に決めたんだあ。




















凛ちゃんは私が守るって。」
 
 

 
後書き
このような拙作にお付き合いいただきありがとうございました。
文章力が皆無に等しいので、読みにくくなければ幸いです。
テーマに添えているか、皆様のご期待に添えているか非常に不安なのであります。現に「不安なのであります」を打つのに10回くらいミスタイプしましたし、ねえ……(情報系専攻1年次)

さて。
本来の原稿締め切りは2/7でした。
今こうして書いているのは、2/20。いくら何でも遅すぎです!!!大遅刻にも程があります!!企画者の壁さんほんとごめんなさい!!待ってくださりありがとうございました頭上がりませんほんとあああああ(どうした)

あと花陽ちゃんかなり自己中心的な人間になっちゃってますね……かよちんクラスタの皆さんすみません。

謝罪ばっかりでほんとすみません!許してください、なんでもしますから!(何でもするとは言っていない)
 
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