暁ラブライブ!アンソロジー~ご注文は愛の重たい女の子ですか?~
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雛鳥のヤンデレほど困ったものはない 【ありのままのぎーの】
前書き
ヤンデレ好きの皆さん、ようこそ我が宮殿へ。今日より、総勢10人の作家さんによるヤンデレアンソロジーが始まります。トップバッターは”ありのままのぎーの”さんです。
どうも、別サイトで活動させていただいているありのままのぎーのです!2回目の企画に参加させていただきます!よろしくお願いします!
俺は今、唖然としていた。
どうしてこうなったのか、思い返してもわからなかった。いや、わかるはずがなかった。というか現在進行形で俺の頭は混乱していた。
俺の右手には、ぎゅ〜っと抱きついている女の子。そして、自分のほっぺをすりすり俺の手に擦り付けている。「えへへ〜…大好き〜♡」とか言っちゃってる。
このようなシチュエーション、一般の男子にとっては至福のようなシチュエーションなのだろう。けれど、俺にとっては迷惑でしかなかった。
なぜならーーー
「えへへ〜♡やっと捕まえたぁ♡昔引越しした時は悲しかったんだよぉ?」
この子、ありもしないことを先程から連呼しているからである。
「だ、誰か…助けてくれぇ〜」
どうしてこうなってしまったのか、時は30分前に遡るーーー
「…ん?」
それはそれは、大学の帰り道であった。
俺はふぁ〜…と欠伸をしながら帰路についていた。いつも通り、友達と分かれて一人で帰っていく帰り道に、とある出会いがあった。
目の前から、服が飛んできたのだ。
「な、なんだぶえふっ!?」
見事なくらいに顔に服が直撃して、俺はマンガのように倒れ込む。色々突っ込みたいことはあるのだが、まずこの状況自体が俺のキャパを超えていてしまった。
ただ、飛んできたのが下着とかじゃないのが唯一の救いだった。下着とかだったら嬉しかったじゃなくて変にでっち上げられることがないだけマシだろう。おい、本音出たとか思ってんじゃないだろうな?
「あ〜!ごめんなさ〜い!」
だが、そのような思考は次に聞こえてきた甘い声によって完全に停止してしまった。脳が蕩けそうなほど可愛らしい声に一瞬ドキッとしてしまったのは内緒だよ?
服を除けて声がした方を見てみると、こちらに走ってくる。ゆっさゆっさ揺れている胸をガン視してしまうがそんなのがバレたらそれこそ俺の性癖がバレてしまうってなもんだ。その部位から目をそらして顔を見た。
何と言っても特徴的なのはその髪の毛だった。トサカのような髪の毛が髪の毛をくくっている部分から生えているように伸びているのがこのこのトレードマークなのだろう。
制服は、音ノ木坂学院の服装であったのは見たら歴然としていた。
さて、ここまでならこのこの服ということで返すだけで済んだのだが、そうは問屋が卸さなかった。
「…あれ?あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「…ん?どったの?」
「覚えてないの!?ことりだよ!南ことり!以前一緒に遊んだりしたじゃん!うわぁ〜懐かしいなぁ〜♡」
その子の名前は『南ことり』と言うらしい。その子は目をキラキラ輝かせてこちらを見ている。
だが、ここで問題が生じてしまった。
…誰ですかあなた?
「え、ん?俺、君のこと知らないんだけど…」
「えぇ〜!?忘れちゃったなんてひどいよぉ!」
「いやいやいやいや!!俺小さい頃君みたいな女の子と友達じゃなかったから!何訳の分からないことを言ってるんだ!?」
「んもう、忘れちゃったんだね?君はね、昔ことりに告白してきたこともあったんだよ♡」
初耳の出来事なんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?
なんじゃそりゃ俺昔女の子に怖くて近寄ることすらできなかったんだぞ!?そんな俺が女の子に告白するはずがねぇじゃねぇか!?
「あー…えーと…ことりちゃん?それ多分…人間違いだと思うんだ。だから、ね、その握る手をやめようね?」
とりあえず俺は、試してみたいことがあったのでそれを試してみる。人違いであってほしいんだけど、もしこれでなお食い下がってきたら、『あれ』の可能性がある。頼む、そうであってくれ…!
「人違いなんかじゃないっ!ことりは君と一緒にいたもん!小さい頃ずっと一緒にいたもんっ!」
……確定ですわこれ。
この子、『妄想系統』のヤンデレだわ。
と、いうことがあって、現在に至るというわけである。
いや、あのね?ヤンデレは割と今まで友達の話とか聞いてきたからある程度は知ってるよ?知ってるけどね?妄想系なんて俺初めて出会ったんだけど!どう対処したらいいのかわからないんだけどっ!
おそらく経緯はこうだろう。
服が飛んだ→それをなんとかとってもらった→その人が割とかっこよかった→ヤンデレ発動といった感じだろうなぁ。あ、何気に自分のことかっこいいとか言いやがってこいつと思った君、表に出なさい土下座して謝るから。
「どうしたらいいんだよ…」
「また昔みたいにことりに告白してくれたらいいと思うよ♡ことり、今ならOKしちゃう♡」
「現役女子高生がなんてこと言うんだよ。だーかーら!君のことなんて知らないんだって離してくれよ!」
流石にそろそろイライラしてきた。確かに可愛らしいしおっぱいもでかゲフンゲフン、発育もいいし可愛いし、やっぱり可愛いから、こんな彼女もありかなとは思うけどよ。思うけどだな。
こんな形で出来るのは本当に嫌なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉの!!
「…なんで、そんなこと言っちゃうの…?」
「うぐ」
しかもこの子、少し涙目に上目遣いでそう言ってくるので、断るに断れないところがあった。俺はそれでも断るけどね。普通の男子がこんなのやられたら鼻血ふくレベル。
助けてくれぇ誰かぁ。何が悲しくてこんなことを俺はしているんだぁぁぁ…。
仕方ない…。究極奥義にでるとするか。
「アーーーボクヨウジオモイダシターーー!!」
「え!?」
「ト、イウワケデ、アデュー!!」
「あ、ちょっとぉ!!」
これこそ困った時の究極奥義!『逃走』!!
フーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!これぞ俺の究極奥義!使えば使うほど進化していく例のアレだ!
それじゃあなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁことりちゃぁぁぁぁぁん!可愛かったぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
ただ、そのヤンデレは治した方がいいよ!!うん!それだけ治そうか!!
「…あーあ、逃げちゃったか」
私はふぅ、とため息をつくと、天を仰ぐような仕草をとって、今日あったあの人のことを思い出した。
「ことり、あの人のこと好きになっちゃったかもしれないけど、流石にあれはやりすぎたかなぁ…?」
偶然とはいえ、私が不注意で飛ばしてしまった服を取ってくれ、そしてこれはなんだとかいうことを言わないですぐ渡してくれた。
顔もかっこいいし、あの人を正直言うと私のものにしたかった。だから、妄想系統のヤンデレを演じて、なんとか手に入れようとしたんだけど…ダメだったみたい。
「あーあ…また会えるかなぁ…」
もちろん、その言葉にはただ単純にまた会いたいということもあるんだけど、もう一つ、私は言いたいことがあった。
「…ありがとうって、言えなかった…」
それが私にとって何より苦痛だった。言ってみれば衣装の命の恩人。なのに、お礼を言えなかったことは心残りとなって私の中に残った。
……また会えないかなぁ。
私は、そう思いながら、星が輝き出した夕暮れの空を見上げた。
……ふふ。私、絶対あなたの事忘れませんよ?だって、ことりが、初めて好きになった人だから……♡
ちなみに、後に私がμ'sで伝説に登りつめた時に、実は彼は密かにことり推しとして、最後のライブに来ていたとか……。そして、私とライブの後付き合ったけれど、ヤンデレの演技は、まだ続いている……。それは私たちの内緒ということで♡
後書き
というわけで、ことりのヤンデレでした。
ヤンデレ初めて書いたのでん?と思うところもあると思いますが、目をつぶって貰えたら嬉しい限りです!
とここで、謝辞を申し上げたいと思います!
ウォール様、今回も快く引き受けてくださってありがとうございました!これからもよろしくお願いします!
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