暁ラブライブ!アンソロジー~ご注文は愛の重たい女の子ですか?~
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狂気の部屋 【頭文字F】
前書き
どんどんいきましょう!三日目担当、”頭文字F”さんです!ところで、みなさんは可愛い女の子に監禁や束縛されたいと思いますか?主催者は常日頃思っております。
初めまして、頭文字Fです!某有名小説サイト様の方で、ラブライブ!の小説を書かせていただいております。
ちなみに今回、ヤンデレ初挑戦です。
もしかしたら、"こんなのヤンデレじゃない!"
とお思いになるかもしれませんが、ご容赦くださいなんでもしますから
ではどうぞ!
「...ん...?」
目が醒める。
...じわじわと鮮明さを取り戻す視界が、どこかも分からない部屋。そして俺の前に置かれた鏡を映し出す。
その鏡には、信じられない姿の自分が映し出されていた。
「...なんだ...これ...」
それは、ロープで椅子に固く縛り付けられている、紛れもない自分の姿だった。
...心臓が早鐘を打つのを、何時もより鋭く知覚させられる。
...とりあえず、これを解こう。
そう思い、手を動かす。
...ジャラッ。
重苦しい鉄の音が俺の耳をつんざく。
...間違いない。俺の手も何か鎖のようなもので縛られている。
「...クソ...典型ってか...?」
心臓が締め付けられる感覚。その感覚に、若干の息苦しさを覚えながら冗談を一つ。
...このままでは、どうにかなってしまいそうだったから。
ジャラジャラと音を立てる鎖に苛立ち、そして焦る。
おかげで腕が重いから。そして何より...。
スタ...スタ...スタ...
「...!?ヤバっ!!」
...この音で、俺を縛り付けた張本人を誘き寄せてしまうことが怖かったから。
焦れば焦るほど音を発する鎖に導かれ、俺を縛り付けた犯人がだんだんと部屋に近づいてくる。
「クソっ!!外れてくれよ!!!」
乱暴にもがいても無駄だった。
...足音が止まる。そして、ドアが軋音を立てる。
...もう、終わった 。そう、目を閉じた。
「チャオ〜♪お目覚めはいかが、ダーリン?」
「...は?」
聞き覚えのある声。その声の主は。
「鞠莉...?」
「そう!あなたのフィアンセ、マリーよ♪」
俺のよく知る人物、小原鞠莉だった。
彼女は浦の星女学院のスクールアイドル、 "Aqours" のメンバーの1人である。そのリーダーが俺の幼馴染、高海千歌。千歌が鞠莉を勧誘、そして彼女は晴れてスクールアイドルに。
...この際ハッキリ言ってしまうと、今まで会ったどんな女の子よりも可愛い。俺はそう思っている。
サラサラと揺れる金髪に、ハツラツとした性格。...時に凹むこともあるが。
...そんな感情豊かで容姿端麗な彼女に、俺は会った瞬間、心惹かれていた。
恋は人を狂わせる。そんな言葉をどこかで聞いたことがある。
...俺もその1人なのか、鞠莉が部屋に入ってきた時、密かに "綺麗だ" "可愛い" と正に時を弁えていない言葉ばかりが頭に浮かんでいた。
時...と言うよりかは状況か。
「フィアンセになったつもりはないけど...いやそれよりもこれ!外してくれ!!誰かに縛り付けられたんだよ!!!」
そんな状況を打破すべく、彼女に解くよう要求する。
...これでやっと、自由に手を動かし、自由に動き回れる。
...と、思っていたのだが。
「...ふふっ...ダーメ♪」
「...は...?」
...彼女の言葉は俺の内に湧き出た希望を押し退けた。
何故解いてくれない?そんな疑問に答えるかのように彼女は。
「...だってアナタ、逃げちゃうでしょ?せっかく捕まえたのに意味がなくなっちゃうわ♪」
光を失った目と共に、俺へと信じ難い言葉を告げた。
"せっかく捕まえた" 。 確かに彼女はそう言った。ということは、彼女が俺を拘束したことになる。
...訳が分からない。
何故解かない?という疑問から、何故俺を捕まえた?という疑問まで、様々な謎が俺の頭を駆け抜ける。
取り敢えず、質問を一つ、掻い摘むことにした。
「なぁ、鞠莉...」
「?なにかな〜?」
「...なんで俺を捕まえた?」
「ワーオ!良い質問ね!!」
質問の内容を聞いた途端、笑顔を見せる鞠莉。
なんの変哲もない、いつもの可愛らしい、活発な笑顔。...だが、この笑顔に裏があると思うと、恐ろしい気持ちで満たされてしまう。
...そんな笑顔で。
「...あなたと2人きりになりたかったから♪」
「...」
...そんな回答を。
間違いない、これは典型的な "ヤンデレ" というヤツだ。
一体何故?次はその疑問が頭をよぎる。
...が、それを見越していたのか話し続ける。
「だってアナタ、すぐ他の女の子とオハナシするんだもん。...マリーがいるのにね?」
「...俺は基本的にAqoursの皆としか話してないぞ?千歌とか曜は俺の幼馴染だしな。」
「...それがイヤなの。」
明るかった彼女の顔に、闇が拡がった。
その表情からは、"妬み" が容易に感じ取れる。
...そんな妬みに溢れた彼女が、髪を揺らし、彼女の香りを振りまき、俺の耳の横へ顔を寄せる。
「...だから、ダーリン...一緒になって...?」
...魅力的な言葉だった。
男からすると、こんな言葉をかけられるとイチコロだろう。...だけど、どうか思い出して欲しい。
...俺は、この娘に縛られている。その上、彼女は...妬みの一心で満ちているということを。
「...やめとけ、何の真似だよ...」
「...ふーん...そう...バット!こっちにも考えがあるの♪」
すこーし待っててね〜♪、と言ってドアをゆっくりと開ける彼女。
不安が最高潮までに募り、恐る恐る聞いてみる。
「...なぁ...その...考えって...?」
「...私ね、どこかで聞いたことがあるの。」
「...死ねば、一緒になれるって。」
そして、ドアを通って。...扉をゆっくりと閉めた。
冗談だ。そう思いたい、そう思うかもしれない。
...だが、彼女の顔から、あの闇に溢れた笑顔さえも。
...消えていた。
「クソッ!!ヤバい!!!」
急いで俺の手を縛ってある鎖をガチャガチャと揺らす。
「クソッ!!外れろって!!!!」
...そう叫び、椅子に鎖をぶつけたところ、鎖は外れてくれた。
解放された手をすぐに縄へ向かわせる。
「...よし...よし...!大丈夫...!」
幸運にも結び目を見つけ、そこを解いて行く。
...鞠莉が戻ってくるかもしれない。そんな恐怖が、俺の手の動きを加速させた。
そして。
「よしっ!解けた!!」
縄を解き、ドアへ急いで向かう。
そしてドアノブに手をかけると...。
...1人でにドアが開いた。
「...ダーリン?どこにいくの?」
「ま...鞠莉...」
...戻ってきてしまった。
恐怖で後ろへ下がってしまう。出口はすぐそこの筈なのに。彼女を押しのけて前に進めば、逃げられるのに。
...だが。
「オシオキが必要ね♪」
「...やめろ...やめろって...」
...彼女の手に握られた包丁が、そうはさせなかった。反射した光が、余計に恐怖感を煽っている...そして。
狂った笑顔のまま、彼女は俺との距離を詰める。
一歩...二歩...三歩...
...逃げることが出来ない、そう俺に証明したいかのように。
「大丈夫よ♪すぐに...終わるから。」
...そして、その笑顔は。
...消えた。
「というストーリーを考えたのよ、ダーリン♪」
「ふざけんな!!!怖すぎるわ!!!!」
「え〜...だってダーリンがダーリンになってくれないんだもん!」
「えっちょっと何言ってるかわかんないっす」
「じゃあどうすればダーリンになってくれるの!?」
「わかんないっす」
「もぉぉぉ〜!!!!」
...現実は、何とも平和であった。
後書き
如何でしたでしょうか。オチがこうでなければ皆様の胸糞が胸糞になってしまうと思いましたので(意味不)
さて、ウォール様の企画小説では他の作家様も多数参加しておられます。皆様のヤンデレを是非是非お楽しみください。
企画主であるウォール様、参加させていただきありがとうございました!!
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