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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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149部分:幕が開きてその三


幕が開きてその三

ーミーズ城ー
「そうか、やっぱり講和は無理だったんだね」
「ああ。あの男頑として我等の案を受け入れない。あくまでも戦うつもりだ」
 シャナンがセリスに言った。城の一室で卓を囲んでセリス、シャナン、レヴィン、オイフェの四人が話し合っている。
「セリス、これでわかっただろう。トラキアとの戦いは避けられない。トラバントを倒すまでな」
 セリスはレヴィンの言葉に考え込んだ。暫く考え込んでいたがそのままの姿勢で口を開いた。
「・・・・・・ミーズに集結している我が軍に伝えてくれ。トラキア軍と全面戦争に入る。まずはミーズ城に来るであろうトラキア軍の誇る竜騎士団を迎え撃つ!」
 レヴィンはその言葉に頷いた。
「よく決断してくれた。まだ迷っているようだったら私は御前を怒鳴り飛ばしてでも決断させていただろう」
「レヴィン・・・・・・」
「セリス、行こう。連中の事だ、すぐにでもこのミーズへ迫って来るぞ」
 今度はセリスが頷いた。
 リーフは自分の部屋にいた。椅子に座り今までの自分の歩んできた人生を振り返っている。
 物心ついた時にはフィン、ナンナと共にレンスターの各地を転々とし追っ手から逃れていた。その間多くの人達に助けられてきた。同志達も得た。そして彼等と共にレンスター城で挙兵した。長い篭城戦の末セリス率いる解放軍の援軍もありようやく勝利を得た。
 その後解放軍に合流しレンスターの解放は成った。今父と母、姉、そしてレンスター王家の仇敵トラキア王国と対峙している。フィアナでの戦いでは自ら剣を取りトラキアの竜騎士達を幾人も斬り倒した。マスターナイトに任じられてから剣の腕はもとより弓、槍、そして魔法や馬も扱えるようになった。これならいける、彼はそう思った。
(父上と母上、そして姉上の仇トラバント、必ずやこの手で・・・・・・)
 その時であった。扉をノックする音が聞こえてきた。
「どうぞ」
 入って来たのは青い髪と瞳を持った騎士だった。彼はその騎士をよく知っていた。
「フィン」
 彼の顔は何時にも増して真摯なものであった。彼は一旦瞳を閉じ主君に対して言った。
「リーフ様、これから貴方に対して一つお話したい事があります」
「ん?何だい?」
「先日のミーズ城攻略のさい私はトラバントの娘アルテナ王女を見かけました」
「アルテナ王女?兄のアリオーン王子と共にトラバントの両腕と称されている人だね。若いが政治にも軍略にも長け人の情を知る人物と聞いているけれど」
「はい。私もミーズ城でアルテナ王女の軍と戦いました。やはり手強い相手でした。・・・・・・しかし私はここでリーフ様に申し上げます」
「フィン、それは一体・・・・・・」
 フィンが額から汗を流し続ける。リーフがゴクリ、と喉を鳴らした。
「アルテナ王女は手に槍を持っておりました。・・・・・・その槍は」
 フィンは言葉を詰まらせた。
「その槍はノヴァ家の槍地槍ゲイボルグだったのです!」
「何っ、そんな馬鹿な・・・・・・!」
 思わず声が上ずった。席を立った。彼の顔は真っ青になっていた。
「間違いありません。ゲイボルグとアルテナ王女から発せられる光、あれこそ正しくノヴァの光です」
「そうか、姉上・・・・・・生きておられたのか・・・・・・」 
 身体がガクガクと震える。だがその時一つの疑念が心に宿った。
「しかし何故トラバントは姉上を自分の娘として手元に置いたのだろう。殺そうと思えば殺せたのに」
「おそらくアルテナ様の持っておられるゲイボルグの力を己が野心の為に利用するつもりなのでしょう。あの男の考えそうなことです」
「トラバント・・・・・・。父上と母上を騙し討ちにしレンスターを滅ぼしただけでなく姉上までも手駒に・・・・・・」
 キッと窓のほうを見た。窓の遥か彼方にはトラキアがある。
「トラバント、必ずこの手で倒す。そして姉上を救い出すんだ!」
 決意した。彼の身体を二つの血脈の気が覆った。
 
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